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脱臭装置の送風機の選び方とは?

ダクト系全体の圧力損失を計算し、必要な静圧が明らかになったら、次はその静圧を実現できる送風機(ファン)を具体的に選定するステップに進みます。

しかし、カタログに記載されたQ-H曲線の読み方や、そもそもどの種類の送風機が自社の系統に適しているのかが分からず、選定作業で手が止まってしまうことも少なくありません。
本記事では、送風機の種類ごとの特性と、Q-H曲線を使った運転点の確認方法、インバーター制御による運転の最適化について解説します。

圧力損失計算の次に
必要な「機種選定」のステップ

ダクト系の圧力損失を積算し、マージンを加えた必要静圧を導き出すところまでは、以下の記事で解説しました。

この必要静圧は、あくまで「これだけの静圧を持つ送風機が必要」という要求スペックです。実際にはこの要求スペックを満たす送風機を、種類・サイズ・運転条件まで具体的に決定する必要があります。

送風機の種類と特性

送風機は羽根車の形状によって、大きく特性が異なります。脱臭装置のダクト系で主に使われるのは以下の3種類です。

軸流ファン

羽根車の軸方向に沿って空気を流すタイプの送風機です。風量が多く取れる一方、静圧が低いという特性があり、抵抗の少ない系統の全体換気や、機器の冷却用途でよく使われます。ダクト系の抵抗が大きい脱臭設備の主送風機としては、単体では力不足になりやすい点に注意が必要です。

シロッコファン

羽根車の回転方向に対して前向きの羽根を多数備えた遠心式の送風機で、多翼送風機とも呼ばれます。比較的コンパクトな構造ながら静圧を確保しやすく、空調設備やレンジフードなど幅広い用途で使われる、最も汎用性の高いタイプです。

ターボファン

回転方向に対して後ろ向きの羽根を持つ遠心式の送風機です。効率が高く、高静圧かつ大風量が必要な場面に適しており、圧力損失の大きい排気ダクトや、複数の脱臭装置・前処理フィルターを直列に接続した系統でよく採用されます。構造上、本体やモーターの容量が大きくなる傾向があります。

一般的に、抵抗の小さい系統には軸流ファン、中程度の静圧が必要な系統にはシロッコファン、圧力損失が大きい系統にはターボファンが選ばれる傾向にありますが、実際の選定では次に説明するQ-H曲線を用いた確認が欠かせません。

Q-H曲線(性能曲線)の
読み方

送風機のカタログには、横軸に風量(Q)、縦軸に静圧(H)をとった「Q-H曲線(性能曲線)」が掲載されています。
このグラフは、ある風量を出そうとしたときに、その送風機がどれだけの静圧を発生できるかを示したものです。

運転点とは何か

送風機のQ-H曲線と、ダクト系統の抵抗曲線(圧力損失は風量の2乗にほぼ比例して増加する関係にあります)を同じグラフ上に重ねると、2つの曲線が交わる点が実際の「運転点」となります。

この運転点における風量が、実際にその送風機をダクト系に接続した際に流れる風量です。計算上求めた必要風量・必要静圧を満たす運転点になっているかどうかを、カタログの性能曲線図で確認することが選定の基本作業になります。

サージング領域を避ける

送風機の性能曲線には、運転が不安定になる「サージング領域」が存在します。この領域で運転すると、騒音や振動の増加、羽根車の劣化、風量の乱れといった不具合を招くおそれがあります。選定の際は、想定される運転点がサージング領域よりも十分に外れた、安定した範囲に収まっているかを確認することが重要です。

インバーター制御による
運転点の最適化

排気風量を調整する方法には、ダンパーで抵抗を変化させる方法と、送風機自体の回転数を変化させるインバーター制御があります。
送風機の特性には、風量が回転数に比例し、静圧は回転数の2乗に、軸動力(消費電力)は回転数の3乗に比例するという関係(相似則)があります。

この関係から、風量を絞りたい場合はダンパーで抵抗を増やすよりも、インバーターで回転数そのものを下げた方が、軸動力(消費電力)を大きく削減できることが分かります。たとえば風量を半分に絞る場合、理論上は回転数も半分にすれば済み、消費電力は8分の1程度まで低減できる計算になります。

常に一定風量ではなく、稼働状況に応じて風量を変動させる必要がある現場では、インバーター制御を組み込むことで、省エネと運転点の最適化を同時に実現できます。

まとめ:
送風機選定は
「種類」と「曲線」の
両方で判断する

送風機の選定は、圧力損失計算で求めた必要静圧を満たすだけでなく、系統の抵抗特性に合った種類(軸流・シロッコ・ターボ)を選び、Q-H曲線で実際の運転点とサージング領域を確認するという2段階のチェックが欠かせません。

さらに、風量の変動が見込まれる現場ではインバーター制御を組み込むことで、消費電力を抑えながら安定した運転点を維持できます。

当メディアでは、脱臭装置に関する基礎知識を他にも多数掲載しています。メーカー選びの判断材料として、ぜひ参考にしてください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3選

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
厨房・食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

対応できる臭い

調理油/魚類/肉類/揚げ物/煮炊き排気/生ゴミ/カビ/硫化水素/スチレン/硫化メチル

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

対応できる臭い

香料/樹脂/フェノール/キシレン/酢酸ブチル/コーティング機排気/酢酸エチル/シアン化水素/アンモニア/1,2,4-トリメチルベンゼン

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業・堆肥なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

対応できる臭い

高濃度アンモニア/硫化水素/硫黄系臭気

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選