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塗装工場の脱臭装置導入事例から学ぶ臭気対策

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塗装工場における臭気対策は、近隣住民との良好な関係維持や、VOC(揮発性有機化合物)の排出抑制による環境配慮を徹底する上で極めて重要な事項となります。

本記事では、工場長や生産管理担当者の方に向けて、塗装現場の課題に即した脱臭方法や、発生成分ごとの特徴について詳しく解説していきます。工場の安定稼働と地域環境への配慮の両立に、ぜひお役立てください。

複数台のコンパクトな中和消臭器により
民家側への塗装臭漏洩を防ぐ

倉庫内に設置された中和消臭器DMDシリーズ
引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/dmd-exa06.html)
排気チャンバーへの消臭剤放出の様子
引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/dmd-exa06.html)
倉庫内に設置された中和消臭器DMDシリーズ
排気チャンバーへの消臭剤放出の様子
設置場所 塗装工場
(排気チャンバー系統)
臭気対象 スプレー塗装時に発生する塗装臭
(有機溶剤臭など)
脱臭方法 中和消臭

導入背景:
周辺住宅への臭気到達リスクと大型装置が置けないスペース課題

河川と民家に囲まれた立地にある塗装工場の事例です。風向きによっては塗装臭が直接民家側に広がってしまうおそれがあり、周辺地域からの苦情を未然に防ぐための実効性のある予防対策が求められていました。近隣住民との良好な関係を維持するためにも、確実な排気管理体制の構築が不可欠な状況でした。

しかし、工場の排気風量が大きいため、一般的な脱臭装置を採用すると設備が大型化してしまい、既存の敷地内では設置スペースの確保が極めて困難でした。そのため、限られたスペースを有効活用でき、周辺環境の変化に合わせて臨機応変に運用を切り替えられるコンパクトな脱臭システムが検討されました。

導入後:
倉庫内へのスマート設置と手元スイッチ運転でコストを抑制

コンパクト設計の中和消臭器「DMD-02ATⅡ」を3台導入しました。大風量に対応するため複数台を組み合わせつつ、本体は排気チャンバー横の倉庫内に格納。雨や直射日光から装置を保護するスマートな配置を行いました。消臭剤には有機溶剤臭に有効なウッディーマイルドを選定し、チャンバー内へダイレクトに放出します。

導入後は塗装臭特有の刺激的なにおいが和らぎ、柔らかい臭質へと改善されました。また、工場内に手元スイッチを設け、民家側に風が吹くタイミングや塗装時のみ運転する仕組みを確立。風が河川側に吹く際は停止させるなど、無駄な薬剤消費を抑えることでランニングコストを低く抑えた効率的な防臭対策を継続しています。

※参照元:日本デオドール公式HP(https://deodor.co.jp/dmd-exa06.html

有機溶剤臭を3段階のノズル制御
スプレーシステムで効率的に低減

自動車工場の塗装排気ライン対策
引用元:カルモア公式HP
(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/spray/automobile/)
設置場所 自動車製造工場
(塗装工程・排気ライン10系統)
臭気対象 吹きつけ塗装時に発生する有機溶剤臭
(VOC臭)
脱臭方法 消臭剤スプレー装置
(消臭剤マイクロゲルスプレーシステム)

導入背景:
住宅地の隣接による苦情増加と大風量・多系統のコスト壁

自動車を製造する工場の吹きつけ塗装ラインにおける事例です。都市の発展に伴って工場周辺にマンションなどの住宅エリアが隣接するようになり、住民からの臭気苦情が一気に増加したため確実な対策が求められていました。しかし、塗装ラインは大風量かつ排気口の数が非常に多く、対策コストが膨大な点が課題でした。

さらに作業内容や塗料の種類によってVOC排出濃度の変動が激しく、ピーク時に合わせて高価な活性炭や燃焼装置を導入することは予算面から極めて困難な状況にありました。そのため、複数の排気ラインを低コストでカバーでき、排出濃度の変化にも柔軟に対応できる実効性の高い脱臭システムが検討されました。

導入後:
悪臭インパクトの絞り込みと工程連動の噴霧制御でコストを抑制

臭気判定士によるアセスメントを実施し、周辺への影響度が高い上位10ラインへ「消臭剤マイクロゲルスプレーシステム」を導入しました。装置ユニット1つに対して複数本のスプレーラインを敷くことで、大がかりな設備投資を必要とせず、初期の導入コストを安価に抑えることに成功しました。

また、最もにおいが強くなる塗装の色換え時と通常の塗装時、停止時の作業工程に合わせ、噴霧するノズル数を3段階で自動制御する運用設計を採用。薬剤の使用量を最低限に抑えることでランニングコストの大幅な削減を実現しました。十分な脱臭効果が認められ、新設の7ラインへの追加増設も決定しています。

※参照元:カルモア公式HP(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/spray/automobile/

ダクト改造と風向制御スクラバーで苦情を解決

農機具製造工場の塗装排気臭気対策設備
引用元:共生エアテクノ公式HP
(https://www.201110.gr.jp/taisaku-jirei/#case010)
設置場所 農機具製造工場
(塗装・乾燥工程・排気6系統)
臭気対象 塗装・乾燥時に発生する溶剤系臭気
(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)
脱臭方法 消臭剤スクラバー脱臭装置
(ハイブリッドスクラバー®TypeW)

導入背景:
多数の排気系統による原因不明の苦情と陣笠ダクトによる拡散不良

農機具を塗装し、乾燥する工程を持つ製造工場の事例です。工場内には全部で17系統もの広大な排気ラインが存在していましたが、どの系統が原因で周辺住民から臭気苦情が発生しているのか特定できない点が大きな課題でした。影響範囲は最大100mにおよび、早期の原因究明と的確なアプローチが急務でした。

また、既存の排気ダクトの先端形状が「陣笠(じんがさ)」になっており、排気が周囲の下方向へ押し潰されるように広がってしまうため、周辺への拡散状況が著しく悪い状態にありました。そのため、どのラインを優先して対策すべきかの見極めと、排気の流れ自体を根本から見直す設計が必要とされました。

導入後:
上部排気へのダクト改造と6系統同時制御によるコスト最適化

事前のコンサルテーションにより悪臭影響度が高い6系統を特定し、検証テストを経て「ハイブリッドスクラバー®TypeW」を全6系統に設置しました。既存の陣笠ダクトを上部垂直排気へと改造し、ダクト内で消臭剤(マイクロゲルC-TK)と排気ガスが十分に接触して中和分解される構造を構築しました。

消臭剤噴霧ユニットは6系統を同時に集中制御できる仕様とし、風向きを考慮して噴霧を切り替える風向風速計制御を導入しました。これにより不要な薬剤消費を抑え、大幅な維持コストの低減を実現。導入後は出口濃度160(脱臭効率90%)を達成し、周辺住民の方々にも効果にご納得いただき無事解決しました。

※参照元:共生エアテクノ公式HP(https://www.201110.gr.jp/taisaku-jirei/#case010

塗装工場の臭気対策に
効果的な脱臭方法

活性炭吸着脱臭装置

多孔質で高い吸着性能を持つ活性炭フィルターに排気を通し、有機溶剤(VOC)などの臭気分子を物理的に捕捉する装置です。塗装ブースから発生する比較的低〜中濃度のシンナー臭や複合的な溶剤臭に対して、非常に高い汎用性と優れたコストパフォーマンスを発揮します。

シンプルな設備構造であるため初期コストを抑えて導入でき、限られた屋外スペースやダクトの途中にもコンパクトに設置しやすい点が魅力です。ただし、活性炭が飽和状態に達した時点で定期的なフィルター交換作業が必要となるため、長期的な交換コストの計画が運用上の鍵となります。

燃焼式脱臭装置

塗装ブースや乾燥炉から発生する高濃度の有機溶剤ガスを、高温(700〜800℃)で熱分解または触媒を用いて酸化燃焼させ、無害な水と二酸化炭素に分解する装置です。乾燥工程などから排出される高濃度かつ大風量の排気に対して、99%以上の圧倒的な脱臭効率を誇ります。

臭気を根本から熱分解するため、処理後の排気をほぼ無臭化できる点が大きなメリットです。導入コストやランニングコストは大きくなりますが、排熱を回収して乾燥炉の熱源として再利用できるシステムを組み合わせることで、エネルギー効率を高めた運用も可能です。

中和脱臭装置

排気ダクト内へ気化した専用の消臭剤をダイレクトに噴霧し、揮発した溶剤臭(シンナー臭)の成分と化学的に反応させることで、においそのものを消臭・改善させるシステムです。大がかりなフィルター設置スペースがない現場や、既存ファンの静圧に余裕がない排気系統への対策に最適です。

装置本体が非常にコンパクトであるため狭い屋外でも柔軟に設置でき、稼働中のラインを長期間止めることなくスピーディーに導入できます。複雑な制御を必要とせずメンテナンスも簡単なため、導入コストを抑えながら近隣苦情対策を早期に確立したい塗装工場で高く評価されています。

塗装工場の臭気対策で
必須となる前処理

ペイントミスト・オーバースプレーの除去

塗装工場の排気対策において最も注意すべきなのは、脱臭装置の一次側(手前)で行う「前処理」の徹底です。スプレー塗装時に発生する浮遊塗料かす(ペイントミスト)や乾燥時の揮発ミストが未処理のまま脱臭装置内に入り込むと、装置の致命的なトラブルを引き起こす直接的な原因となります。

粘着性の塗料ミストが直接フィルターに付着すると、活性炭の即時目詰まりや燃焼式装置の触媒劣化を招き、脱臭効率が急激に低下するだけでなくダクト火災の危険性も高まります。そのため、前段に排気用ペイントフィルターや水スクラバーを設置し、ミストを確実に捕集しておくことが不可欠です。

CHECK

塗装工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方

重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。塗装工場内で使用する塗料の種類(油性・水性)や乾燥炉の有無、稼働状況によって、最適な脱臭システムは異なります。

ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。

当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。

塗装工場で発生する
臭気の種類と特徴

トルエン

従来の油性塗料やシンナー(希釈剤)に広く含まれており、塗装工場で発生する溶剤臭(シンナー臭)の主要な構成成分です。揮発性が非常に高く、ツンとした独特の甘い刺激臭を放ちます。敷地外に拡散すると即座に不快感を与えやすく、近隣住民からの臭気苦情を引き起こす主因となる成分です。

作業環境への悪影響や大気汚染物質(VOC)としての法的規制が特に厳しいため、活性炭吸着による確実な回収や、燃焼式装置による酸化分解によって重点的に排出量を低減させる必要があります。

キシレン

トルエンと並び、自動車や金属製品などの各種工業用塗料に溶剤として高濃度で含まれる代表的な物質です。頭痛や不快感を誘発しやすい刺激臭が特徴であり、蒸気圧がトルエンよりやや低いため、塗装後のセッティングスペースや乾燥炉の排気ガス中に多く蓄積して排出される性質を持っています。

においを検知する閾値(しきいち)が低く周辺ににおいが残りやすいため、塗料を大量に使用する製造ラインでは、風量や濃度に合わせた活性炭吸着や燃焼式脱臭装置の導入が不可欠です。

酢酸エチル

水性塗料や速乾性塗料の溶剤としてよく使用される、果実のような特有の甘いにおいが特徴の有機溶剤です。トルエン等の代替溶剤としても利用されますが、沸点が低く極めて揮発しやすいため、スプレー塗装ブースや塗料調合室などの常温プロセスにおいて高濃度で大気中へ拡散する傾向があります。

低濃度でも特有のにおいを放ちやすいため、周辺住宅地への漏洩を防ぐためには、専用の活性炭による物理吸着や、気液接触による中和脱臭装置を用いたスピーディーな対応が適しています。

スチレン

主にFRP(繊維強化プラスチック)塗装や、特定のプライマー(下地塗料)を使用する工程において、溶剤や硬化剤として使用される際に揮発する薬品臭です。独特のプラスチックのようなにおいがあり、極めて不快度が高く、わずかな漏洩であっても周辺地域からの強い反発を招きやすい成分です。

塗装効率を高めるために稼働する大型ブースから発生しやすいため、風向風速に合わせた消臭スプレーの制御や、複数層の活性炭フィルターを組み合わせた多段階の除去設計が推奨されます。

他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選