農業経営(耕種・畜産など)において避けて通れないのが、家畜排せつ物や堆肥化に伴う臭気問題です。
近隣住民との共生や、行政指導のリスク、さらには過酷な労働環境の改善に向け、本記事では農業施設に特化した脱臭事例と効果的な対策方法を解説します。
持続可能な農業環境の構築にお役立てください。
| 設置場所 | 養豚場 (堆肥化施設の縦型発酵装置排気) |
|---|---|
| 臭気対象 | 家畜糞(豚糞)の堆肥化に伴う 高濃度アンモニア |
| 脱臭方法 | バイオフィルター脱臭 |
北海道で17,000頭を飼育する養豚場の事例です。堆肥化を行う縦型発酵装置から、2,500ppmを超える高濃度のアンモニア臭が発生していました。
従来の木質チップ脱臭槽では除去率が18%台にとどまり、強烈な悪臭が大気放出されている状態。
チップの劣化により通気性が悪化し、堆肥化の進行にも悪影響を及ぼすなど、既存設備の限界に直面していました。
脱臭槽の躯体はそのままに、中身をミライエの「多孔質ガラス脱臭」へ入れ替えました。ガラス担体は分解されず長寿命で、通気性も維持できます。
導入後は、吸気2,400ppmの悪臭が0~80ppmまで激減し、除去率98%台(従来比4倍以上)を達成しました。既存設備を有効活用しながら、環境改善に成功しています。
| 設置場所 | 堆肥施設(群馬県某農場) |
|---|---|
| 臭気対象 | 家畜排せつ物の堆肥化に伴う臭気 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭(気化式) |
群馬県にある農場の堆肥施設における事例です。奥行き65mにおよぶ広大な施設内で家畜排せつ物を堆肥化しており、発生する強い臭気を外部へ排出する前の適切な処理が課題となっていました。
換気設備への負荷を抑えつつ、メンテナンスや施工が容易で確実な効果を見込める脱臭方法が求められていたのです。
気化式の中和脱臭装置「爽」を3台導入しました。気化した薬液をダクトへ送り込み、悪臭を中和分解する方式です。
静圧がかからないためファンの動力費を削減でき、排水設備も不要な点が評価されました。
月1回の液補充で装置の性能を維持することが可能です。臭気の強さに応じて薬液量を調整できるため、万がいち近隣クレームが発生した時の対応速度も上がるでしょう。

| 設置場所 | 養豚場(肥育舎・800頭/棟) |
|---|---|
| 臭気対象 | 養豚場の獣臭 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭(気化式) |
某養豚場の肥育舎(800頭/棟)における事例です。以前はオゾン脱臭装置や次亜塩素酸噴霧方式を使用していましたが、より効果的な獣臭対策を求めて設備の入れ替えを検討していました。
一般的なフィルター式脱臭装置では排気抵抗がかかり、排気ファンの容量アップなど余計なコストが発生してしまいます。
そのため、排気系統への抵抗を与えず、低コストで効率的に導入できるシステムが必要でした。
気化式の中和脱臭装置「爽」を導入しました。植物性の消臭液を気化させて臭気分子と接触効率を高め、中和分解する仕組みです。
排気ファンへの負荷(抵抗)が不要で、余分なコストをかけずに設置できる点が決め手となりました。
導入後は、気化ガスによって獣臭が緩和され、スムーズな屋外排気を実現しています。
多孔質の活性炭に臭気分子を物理的に吸着させる方法です。農業施設においては、比較的低濃度の仕上げ脱臭や、管理室の臭気対策に適しています。
ただし、農業特有の高濃度アンモニアや高湿度下では短期間で飽和し、ランニングコストが跳ね上がるため、前処理後の二次処理として導入されるのが一般的です。
酸やアルカリの薬液をシャワー状に噴霧し、臭気を化学的に中和除去する方法です。堆肥化工程から発生する強烈なアンモニア(数千ppm単位)を瞬時に処理する能力に長けています。
設置スペースを抑えつつ大風量を処理できる一方で、薬液代や排水処理のコストがかかるため、大規模プラント向きです。
微生物の代謝を利用して臭気成分を分解する方法で、アンモニアや硫黄化合物に対して効果的とされています。
環境負荷が低く、導入するには一定の広さが必要になるため、特に農業と相性が良い脱臭方法だと言えるでしょう。
冬場の温度管理や微生物の水分調整など一定の管理技術が必要ですが、薬剤を使用せずにランニングコストを抑えられます。
臭気ガスを高温で加熱し、成分を酸化分解(無臭化)する方法です。農業施設では、畜産廃棄物の乾燥工程など、極めて高濃度で油分や粉塵を含む悪臭が発生する場合に検討されます。
脱臭効率が高い一方で、燃料代も高額なため、他の方法で対応できない場合の最終手段として考えておくと良いでしょう。
農業施設の悩みを解決する脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。農業施設で生産・加工している耕種・畜産の種類によって、発生する臭気は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
鼻を刺すような強烈な刺激臭です。家畜の尿や排せつ物に含まれる窒素成分が微生物により分解されることで発生します。
農業施設において発生量が多く、高濃度では従業員の健康被害や建屋の腐食、近隣住民からの苦情原因となる可能性が高いため、優先的に対策すべきです。
腐った卵のような不快臭です。ピット内や貯留槽など、酸素が少ない嫌気的な環境で発生しやすくなります。
毒性が非常に強く、低濃度でも金属やコンクリートを腐食させるため、設備維持の観点からも対策が不可欠です。アンモニアと混ざり合うことで「家畜臭」がより不快なものになります。
腐った玉ねぎやキャベツのような臭気です。排せつ物や残渣が腐敗する過程で放出されます。活性炭脱臭や中和脱臭が効果的です。
人間がにおいを感じ取る濃度(閾値)が低いため、わずかな漏洩でも問題視されやすい傾向にあります。
蒸れた靴下や汗のような酸っぱい臭気です。酪酸やイソ吉草酸などが該当し、特に養豚場の肥育舎や堆肥化の初期工程で顕著に発生します。
特有の「獣臭さ」の主成分であり、建物の壁面や衣服に染み付きやすく、周辺住民に強い不快感を与える厄介な成分です。
家畜糞を堆肥化する過程では、初期の発酵段階で爆発的にアンモニアと脂肪酸が発生します。
切り返し作業時など、一時的に大量の臭気が放出される「ピーク時」への対応が重要です。
適切な水分管理と通気(エアレーション)を行わないと嫌気化し、さらに強烈な硫黄系悪臭が発生します。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。