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製菓工場の脱臭装置導入事例から学ぶ臭気対策

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製菓工場から甘い香りが継続的に漂う場合、近隣住民から不快感や体調への影響、あるいは洗濯物への付着といった指摘を受ける可能性があります。

本記事では、チョコレートや焼き菓子などの製造現場における、臭気課題を解消した導入事例を紹介。あわせて油煙や排水臭の低減に即した脱臭方法についても詳しく解説していきます。

製菓工場でクリアすべき
悪臭防止法と脱臭装置の選び方

製菓工場では、クッキーやケーキの焼成臭、チョコレートの焙煎臭、香料のにおいなど、一般的には「良い香り」と捉えられる臭気であっても、継続的に周辺へ流出することで近隣からの指摘につながる可能性があります。

脱臭装置を選定する際は、単に排気口から出るにおいを弱めるだけでなく、工場周辺の生活環境に影響を与えない状態まで臭気を低減できるかという視点が重要です。臭気の種類や濃度、排気温度、油分の有無、処理風量などを確認したうえで、必要な脱臭性能とコストのバランスを検討しましょう。

敷地境界線(1号基準)と
周辺環境への配慮

悪臭防止法では、規制地域内の工場・事業場を対象として、敷地境界線、気体排出口、排出水のそれぞれに規制基準が設けられています。このうち、工場の敷地境界線に適用されるものが「1号規制基準」です。

臭気指数による規制が採用されている地域では、人間の嗅覚を用いて算定する「臭気指数」を基準として、敷地境界線で許容される臭気の程度が定められています。具体的な基準値は地域の自然的・社会的条件などを踏まえて自治体ごとに設定されるため、工場所在地を管轄する自治体の規制内容を事前に確認することが重要です。

また、排気口から排出される臭気についても、拡散した臭気が周辺環境へ与える影響を踏まえた規制が設けられています。そのため、製菓工場の臭気対策では、排気口直後の脱臭効率だけを見るのではなく、敷地境界線まで臭気がどのように拡散するかを考慮して設備を設計する必要があります。

特に住宅地に近い工場や、新設・増設によって製造量が増える工場では、臭気測定や拡散状況の確認を行い、必要に応じて脱臭装置の能力や排気位置を検討するとよいでしょう。

※参照元:環境省「悪臭防止法の概要」(https://www.env.go.jp/air/akushu/low-gaiyo.html

製菓工場向け:脱臭方式別の
コスト・メンテナンス比較表

製菓工場で使用される脱臭方式には、それぞれ得意とする臭気や設備条件があります。代表的な方式について、導入コストや維持管理の傾向を比較すると以下の通りです。

方式名 得意な臭気 イニシャル
コスト
ランニング
コスト
メンテナンス頻度 設置スペース
添着炭・
活性炭吸着
焼き臭:○
油煙:△
香料:○
低~中
吸着剤の定期交換が必要
小~中
薬液洗浄
スクラバー
焼き臭:○
油煙:△
香料:○
※水溶性成分に適する
中~高
薬液・ノズル・槽内の管理が必要
中~大
生物脱臭 焼き臭:△
油煙:×
香料:△
排水処理由来臭:○
中~高
微生物・水分・温度の管理が必要
燃焼法・
触媒燃焼法
焼き臭:◎
油煙:○
香料:◎

触媒や加熱設備などの点検が必要
中~大

※上表は各脱臭方式の一般的な傾向を整理したものです。実際の費用やメンテナンス頻度は、処理風量、臭気濃度、稼働時間、排気条件、装置仕様などによって異なります。

たとえば、焼き菓子のような比較的低~中濃度の臭気であれば吸着式が候補となりますが、高濃度の焼成臭や複数の臭気成分が含まれる場合には、燃焼法など高い処理能力を持つ方式が必要になるケースがあります。一方、排水処理設備から発生する硫化系臭気では、生物脱臭や薬液洗浄など別の方式が適している場合があります。

さらに、フライ工程や焼成工程の排気には、オイルミストや粉塵、高温・多湿といった脱臭性能を低下させる要因が含まれることがあります。こうした排気をそのまま脱臭装置へ送り込むのではなく、オイルミスト除去や冷却などの前処理を組み合わせることで、脱臭装置への負荷を抑え、吸着剤や触媒の寿命を延ばせる可能性があります。

高性能な脱臭装置を1台導入することだけが最適解とは限りません。臭気の発生源を整理し、前処理と脱臭方式を組み合わせながら必要な性能を確保することが、設備費と維持費を含めたトータルコストの最適化につながります。

脱臭装置を導入した
製菓工場の事例

新設洋菓子工場の
甘い焼き菓子臭を未然に防止

洋菓子工場_脱臭装置導入事例
引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/dc-exa05.html)
洋菓子工場_脱臭装置導入事例
引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/dc-exa05.html)
洋菓子工場_脱臭装置導入事例
洋菓子工場_脱臭装置導入事例
設置場所 屋外(排気ダクト接続)
臭気対象 クッキーやケーキなど焼き菓子を
製造する時の甘いにおい
脱臭方法 中和脱臭(DC-12SO)

導入背景:
新工場建設に伴う近隣への臭気対策

事業拡大に伴い、新設された洋菓子工場の事例です。既存工場での運用経験から、新工場の建設にあたっては周辺環境への環境配慮を最優先事項として掲げていました。

クッキーやケーキを焼く際に生じる特有の甘いにおいは広範囲に漂いやすい性質を持つため、製造量の増加を見越した実効性の高い脱臭計画が不可欠となっていたのです。

導入後:
周辺環境への影響を未然に防止

日本デオドールの中和脱臭装置 DC-12SO を導入しました。既存工場における稼働実績に加え、導入後のきめ細やかなメンテナンス対応が評価され、今回のリピート採用に至っています。

排気口を屋上へ延長する構造上の工夫と、将来的な製造量拡大に対応した設計の組み合わせにより、周辺への臭気拡散を抑制。現在は、2つの拠点で安定した工場運営を継続する運びとなりました。

※参照元:日本デオドール公式HP(https://deodor.co.jp/dc-exa05.html

チョコレート工場の
甘い排気臭を苦情ゼロへ

設置場所 菓子製造工場
(チョコレート製造工程)
臭気対象 カカオ豆加工・チョコレート製造時に
発生する臭気
脱臭方法 触媒燃焼式脱臭、スクラバー脱臭
(オゾン併用)

導入背景:
カカオ豆加工時の臭気による指摘が発生

1960年頃から操業を続ける、大規模なチョコレート菓子製造工場の事例です。カカオ豆の加工から一貫して行っており、長年地域に根ざしてきましたが、2011年に近隣から年間4件の臭気に関する指摘が寄せられたことを機に、対策の強化に着手しました。

準工業地域に位置するものの、周辺環境への配慮と企業としての責任を果たすべく、チョコレート特有の甘いにおいに対処できる実効性の高い脱臭システムの構築が急務となったのです。

導入後:
2種類の装置併用で規制基準をクリア

カカオ豆の加工工程に合わせ、触媒燃焼式脱臭装置とオゾン併用スクラバー脱臭装置を組み合わせて導入しました。総額約7,000万円の設備投資と年間約1,000万円の維持費を投じ、包括的な脱臭対策を運用しています。

その結果、敷地境界線における臭気指数は規制基準値を下回り継続していた指摘も解消。現在は工場見学会などを通じて環境への取り組みを公表し、地域との良好な共生関係を保っています。

※参照元:環境省公式HP【PDF】(https://www.env.go.jp/content/900397560.pdf

菓子工場の排水臭を99.9%除去し
直販店の苦情を解決

菓子工場_脱臭装置導入事例
引用元:カルモア公式HP
(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/eto/sweets/)
菓子工場_脱臭装置導入事例
引用元:カルモア公式HP
(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/eto/sweets/)
菓子工場_脱臭装置導入事例
菓子工場_脱臭装置導入事例
設置場所 菓子工場内の排水処理設備
臭気対象 排水処理設備の排気臭
(硫化水素、メチルメルカプタンなど)
脱臭方法 触媒燃焼式脱臭(ETO脱臭装置)

導入背景:
直販店付近に漂う排水処理臭への指摘対策

中部地区にある老舗製菓工場の事例です。工場併設の直販店において、周辺に不快な臭気が漂っているとの指摘が寄せられていました。

臭気調査を実施した結果、店舗から数十メートルに位置する排水処理設備が原因と判明。 硫化水素やメチルメルカプタンを含む不快度の高い臭気が発生しており、直販店への営業影響を最小限に抑えるためにも、実効性の高い脱臭対策が求められたのです。

導入後:
濃度130,000の臭気を99.9%抑制

安定した処理能力が見込める触媒燃焼式を採用した、カルモアのETO脱臭装置を導入しました。事前のデモテストにおいて、目標とする数値への低減を確認できたことが迅速な採用の決め手となっています。

対策前は臭気濃度130,000という非常に高い数値でしたが、導入後は濃度100まで低下し、99.9%の低減実績を得るに至りました。店頭での臭気問題は解消され、お菓子本来の香りを損なわない環境を維持しています。

※参照元:カルモア公式HP(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/eto/sweets/

製菓工場の臭気対策に
効果的な脱臭方法

添着炭

製菓工場の排気は、多様な原材料が混ざり合った複合臭となる傾向にあります。通常の活性炭では吸着しきれない甘いにおい(アルデヒド類など)に対しても、特定の薬品を染み込ませた添着炭を用いることで、効率的な低減が可能です。

敷地境界線における最終的な対策として、排気口付近の限られたスペースに導入できる柔軟性も、運用上の利点といえるでしょう。

薬液洗浄スクラバー

オーブン排気や飴・ジャムの煮込み工程など、高温多湿な排気が発生する現場に適した手法です。

水溶性の甘い臭気成分をシャワーで中和・洗浄すると同時に、排気に含まれる粉塵の捕捉も行えるため、ダクト内の汚れ蓄積や火災リスクの抑制に寄与します。

高濃度の臭気に対しても、安定した処理能力を維持できる点が大きな特徴です。

生物脱臭

製造ラインではなく、卵や乳製品の洗浄水が集まる排水処理施設の腐敗臭への対応に即した方法です。微生物が硫化水素などの成分を分解する仕組みのため、薬剤コストの削減に繋がります。

24時間稼働で濃度変動が少ない環境下での運用に向いており、長期的な維持費を低減させたいケースにおいて選ばれています。

製菓工場の臭気対策で
必須となる前処理

オイルミスト除去

クッキーの焼成やスナック菓子のフライ工程を伴う排気には、微細な油分(オイルミスト)が多く含まれる傾向にあります。この排気を直接脱臭装置へ導入すると、フィルターや吸着剤の表面に油分が付着して目詰まりを引き起こし、短期間で脱臭性能を損なう要因となり得ます。

そのため、デミスターなどの前処理設備を用いて油分を物理的に捕集する工程が推奨されます。あらかじめ負荷を低減させた状態で脱臭装置へ送り出すことが、装置の長期安定稼働とメンテナンス性の向上につながるでしょう。

排気温度の低下
(冷却装置の導入)

製菓工場のオーブンや焙煎設備から排出される空気は高温になることがあり、脱臭装置へ導入する前に排気温度を適正な範囲まで下げる前処理が必要となる場合があります。

特に活性炭吸着式は、高温・高湿度の排気をそのまま処理すると吸着性能が十分に発揮されにくくなります。使用する装置によって許容条件は異なりますが、例えば業務用の活性炭脱臭装置には、排気温度を40℃以下としている製品もあります。

また、生物脱臭では微生物が活動しやすい温度・水分環境を維持する必要があるため、高温排気を直接送り込むのではなく、設備の運転条件に合わせて温度を調整することが重要です。

高温排気への対応には、熱交換器によって排熱を回収しながら温度を下げる方法や、冷却スクラバーで排気を水と接触させて冷却する方法などがあります。スクラバーを使用すれば、冷却と同時に水溶性の臭気成分や粉塵を除去できる場合もあります。

ただし、必要な冷却温度は脱臭方式や装置仕様によって異なります。「40℃以下」を一律の基準とするのではなく、後段に設置する脱臭装置の許容温度・湿度を確認したうえで冷却設備を設計することが大切です。

CHECK

製菓工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方

重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。製菓工場内で加工している材料や製造工程によって、発生する臭気は変わってきます。

ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。

当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。

製菓工場で発生する
臭気の種類と特徴

アルデヒド類・ピラジン類

砂糖、小麦粉、バターを焼成する際のメイラード反応によって生じる、香ばしく甘いにおいの主成分です。クッキーやスポンジケーキの焼成工程、チョコレートのカカオ焙煎工程などで発生します。

一般的には好まれる香りですが、毎日高濃度で放出されることで近隣住民の不快感に繋がりやすく、洗濯物への付着といった指摘にも発展しやすい成分といえるでしょう。

アクロレイン(油煙)

ドーナツやスナック菓子など、フライヤーを使用する工程で油が高温加熱・酸化されると発生します。鼻や目を刺激する特有のにおいが特徴で、白煙と共に排出されるケースが多い物質です。

刺激性を伴うため、低濃度でも周辺への影響が出やすく、視覚的にも目立ちやすいため、近隣からの早期の指摘に繋がりやすいリスクを内包しています。

エステル類(香料成分)

キャンディ、グミ、チョコレートなどに使用されるバニラやフルーツ系の香料成分を指します。揮発性が高く、広範囲に拡散しやすい性質が特徴です。

工場内では芳醇な香りに感じられる場合でも、高濃度で外部へ漏れることで、過度に甘い化学的な臭気として認識される傾向にあります。

硫化水素・メチルメルカプタン類

排水処理施設やグリストラップ、残渣保管庫で生じる腐敗臭です。生クリームや卵、糖分を多く含む排水が嫌気性発酵することで、腐卵臭や玉ねぎの腐敗臭に似た臭気が発生します。

においを感知できる濃度(閾値)が極めて低く、わずかな漏洩でもガスや下水のような不快臭として指摘されやすいため、継続的な管理体制の構築が求められます。

他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

対応できる臭い

調理油/魚類/肉類/揚げ物/煮炊き排気/生ゴミ/カビ/硫化水素/スチレン/硫化メチル

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

対応できる臭い

香料/樹脂/フェノール/キシレン/酢酸ブチル/コーティング機排気/酢酸エチル/シアン化水素/アンモニア/1,2,4-トリメチルベンゼン

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

対応できる臭い

高濃度アンモニア/硫化水素/硫黄系臭気

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選