製菓工場から甘い香りが継続的に漂う場合、近隣住民から不快感や体調への影響、あるいは洗濯物への付着といった指摘を受ける可能性があります。
本記事では、チョコレートや焼き菓子などの製造現場における、臭気課題を解消した導入事例を紹介。あわせて油煙や排水臭の低減に即した脱臭方法についても詳しく解説していきます。
| 設置場所 | 屋外(排気ダクト接続) |
|---|---|
| 臭気対象 | クッキーやケーキなど焼き菓子を 製造する時の甘いにおい |
| 脱臭方法 | 中和脱臭(DC-12SO) |
事業拡大に伴い、新設された洋菓子工場の事例です。既存工場での運用経験から、新工場の建設にあたっては周辺環境への環境配慮を最優先事項として掲げていました。
クッキーやケーキを焼く際に生じる特有の甘いにおいは広範囲に漂いやすい性質を持つため、製造量の増加を見越した実効性の高い脱臭計画が不可欠となっていたのです。
日本デオドールの中和脱臭装置 DC-12SO を導入しました。既存工場における稼働実績に加え、導入後のきめ細やかなメンテナンス対応が評価され、今回のリピート採用に至っています。
排気口を屋上へ延長する構造上の工夫と、将来的な製造量拡大に対応した設計の組み合わせにより、周辺への臭気拡散を抑制。現在は、2つの拠点で安定した工場運営を継続する運びとなりました。
| 設置場所 | 菓子製造工場 (チョコレート製造工程) |
|---|---|
| 臭気対象 | カカオ豆加工・チョコレート製造時に 発生する臭気 |
| 脱臭方法 | 触媒燃焼式脱臭、スクラバー脱臭 (オゾン併用) |
1960年頃から操業を続ける、大規模なチョコレート菓子製造工場の事例です。カカオ豆の加工から一貫して行っており、長年地域に根ざしてきましたが、2011年に近隣から年間4件の臭気に関する指摘が寄せられたことを機に、対策の強化に着手しました。
準工業地域に位置するものの、周辺環境への配慮と企業としての責任を果たすべく、チョコレート特有の甘いにおいに対処できる実効性の高い脱臭システムの構築が急務となったのです。
カカオ豆の加工工程に合わせ、触媒燃焼式脱臭装置とオゾン併用スクラバー脱臭装置を組み合わせて導入しました。総額約7,000万円の設備投資と年間約1,000万円の維持費を投じ、包括的な脱臭対策を運用しています。
その結果、敷地境界線における臭気指数は規制基準値を下回り、継続していた指摘も解消。現在は工場見学会などを通じて環境への取り組みを公表し、地域との良好な共生関係を保っています。
| 設置場所 | 菓子工場内の排水処理設備 |
|---|---|
| 臭気対象 | 排水処理設備の排気臭 (硫化水素、メチルメルカプタンなど) |
| 脱臭方法 | 触媒燃焼式脱臭(ETO脱臭装置) |
中部地区にある老舗製菓工場の事例です。工場併設の直販店において、周辺に不快な臭気が漂っているとの指摘が寄せられていました。
臭気調査を実施した結果、店舗から数十メートルに位置する排水処理設備が原因と判明。 硫化水素やメチルメルカプタンを含む不快度の高い臭気が発生しており、直販店への営業影響を最小限に抑えるためにも、実効性の高い脱臭対策が求められたのです。
安定した処理能力が見込める触媒燃焼式を採用した、カルモアのETO脱臭装置を導入しました。事前のデモテストにおいて、目標とする数値への低減を確認できたことが迅速な採用の決め手となっています。
対策前は臭気濃度130,000という非常に高い数値でしたが、導入後は濃度100まで低下し、99.9%の低減実績を得るに至りました。店頭での臭気問題は解消され、お菓子本来の香りを損なわない環境を維持しています。
製菓工場の排気は、多様な原材料が混ざり合った複合臭となる傾向にあります。通常の活性炭では吸着しきれない甘いにおい(アルデヒド類など)に対しても、特定の薬品を染み込ませた添着炭を用いることで、効率的な低減が可能です。
敷地境界線における最終的な対策として、排気口付近の限られたスペースに導入できる柔軟性も、運用上の利点といえるでしょう。
オーブン排気や飴・ジャムの煮込み工程など、高温多湿な排気が発生する現場に適した手法です。
水溶性の甘い臭気成分をシャワーで中和・洗浄すると同時に、排気に含まれる粉塵の捕捉も行えるため、ダクト内の汚れ蓄積や火災リスクの抑制に寄与します。
高濃度の臭気に対しても、安定した処理能力を維持できる点が大きな特徴です。
製造ラインではなく、卵や乳製品の洗浄水が集まる排水処理施設の腐敗臭への対応に即した方法です。微生物が硫化水素などの成分を分解する仕組みのため、薬剤コストの削減に繋がります。
24時間稼働で濃度変動が少ない環境下での運用に向いており、長期的な維持費を低減させたいケースにおいて選ばれています。
クッキーの焼成やスナック菓子のフライ工程を伴う排気には、微細な油分(オイルミスト)が多く含まれる傾向にあります。この排気を直接脱臭装置へ導入すると、フィルターや吸着剤の表面に油分が付着して目詰まりを引き起こし、短期間で脱臭性能を損なう要因となり得ます。
そのため、デミスターなどの前処理設備を用いて油分を物理的に捕集する工程が推奨されます。あらかじめ負荷を低減させた状態で脱臭装置へ送り出すことが、装置の長期安定稼働とメンテナンス性の向上につながるでしょう。
製菓工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。製菓工場内で加工している材料や製造工程によって、発生する臭気は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
砂糖、小麦粉、バターを焼成する際のメイラード反応によって生じる、香ばしく甘いにおいの主成分です。クッキーやスポンジケーキの焼成工程、チョコレートのカカオ焙煎工程などで発生します。
一般的には好まれる香りですが、毎日高濃度で放出されることで近隣住民の不快感に繋がりやすく、洗濯物への付着といった指摘にも発展しやすい成分といえるでしょう。
ドーナツやスナック菓子など、フライヤーを使用する工程で油が高温加熱・酸化されると発生します。鼻や目を刺激する特有のにおいが特徴で、白煙と共に排出されるケースが多い物質です。
刺激性を伴うため、低濃度でも周辺への影響が出やすく、視覚的にも目立ちやすいため、近隣からの早期の指摘に繋がりやすいリスクを内包しています。
キャンディ、グミ、チョコレートなどに使用されるバニラやフルーツ系の香料成分を指します。揮発性が高く、広範囲に拡散しやすい性質が特徴です。
工場内では芳醇な香りに感じられる場合でも、高濃度で外部へ漏れることで、過度に甘い化学的な臭気として認識される傾向にあります。
排水処理施設やグリストラップ、残渣保管庫で生じる腐敗臭です。生クリームや卵、糖分を多く含む排水が嫌気性発酵することで、腐卵臭や玉ねぎの腐敗臭に似た臭気が発生します。
においを感知できる濃度(閾値)が極めて低く、わずかな漏洩でもガスや下水のような不快臭として指摘されやすいため、継続的な管理体制の構築が求められます。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。