惣菜工場の排気は、多品種少量生産という特性上、日ごとに臭気の質や強度が変動するため、適切な対策の選定が重要な課題となります。
本記事では、脱臭装置の導入により餃子やカレーなどの広範囲に漂いやすい臭気を低減した導入事例とともに、油煙や排水臭の処理に即した脱臭方法について詳しく解説していきます。
| 設置場所 | 排気ダクトの側面(直付け) |
|---|---|
| 臭気対象 | 食肉を加工し 餃子の餡を作る工程で発生する臭気 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
1日あたり数十万個の餃子を製造する大規模工場の事例です。当初、臭気対策として排気ダクトを屋上まで延長するなどの措置を講じましたが、ニンニクや調味料が混ざり合った独特の臭気への対応に苦慮し、追加の脱臭手法を検討することに。
工場内には大型の装置を追設する余剰スペースが確保できなかったため、省スペース設計かつ既存の排気システムへの負荷が少ない装置の選定が課題となっていました。
日本デオドールの小型中和脱臭装置をテスト導入しました。実際の現場で低減状況を確認したうえで、正式な採用に至っています。
排気ファンの吸引力を活用して植物精油を混合・発散させる仕組みにより、調味料由来の生臭さを抑え、周辺の臭気環境を改善。限られたスペースにおいて、動力源を必要とせず圧力損失も極めて低い状態での運用が実現した点が評価されています。
| 設置場所 | 加工食品製造工程 (惣菜・醤油焼き工程) |
|---|---|
| 臭気対象 | 惣菜・醤油焼き工程で発生する 醤油臭、焦げ臭 |
| 脱臭方法 | セラミックフィルター脱臭 (ゼオガイア 2ユニット) |
惣菜の製造、および醤油焼き工程を有する食品工場の事例です。従来はバイオフィルター脱臭装置を使用していましたが、脱臭効率の変動や維持管理に要する工数が、運用上の課題となっていました。
周辺環境への配慮を継続するため、安定した処理能力を維持しやすく、かつ日常的な運用管理を効率化できる脱臭システムへの更新が検討されたのです。
カルモアのセラミックフィルター「ゼオガイア」を2ユニット導入しました。2台を交互に運転させ、休止期間中にフィルターから臭気を離脱させる徐放効果を活用することで、フィルターの交換周期を延ばす運用を確立しています。
導入後は、平均脱臭効率80%を維持。濃度1,400の臭気が270まで低減され、約1年間にわたりフィルター交換なしでの稼働実績を得るなど、メンテナンス負荷の軽減にも繋がっています。

| 設置場所 | 食品工場(カレー・惣菜工程) |
|---|---|
| 臭気対象 | 惣菜生産時に発生するカレー臭 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭(DMD-02ATⅡ) |
カレーや惣菜を製造する食品工場の事例です。スパイスを多用するカレーの製造工程では、特有の強度の高い香りが発生しますが、工場排気としては周辺環境への配慮が必要な要因となります。
本事例では、高濃度のカレー臭が風に乗って広範囲に拡散する事態が課題となっており、近隣環境との共生を図るための実効性の高い拡散防止対策が検討されました。
エスポ化学の中和脱臭装置「DMD-02ATⅡ」を3台設置しました。カレー臭の性質に合わせて調合された、シトラスミントの芳香成分を含む消臭剤を採用しています。
排気風量42,000CMHという大風量に対し、消臭剤を噴霧して気相反応させることで、カレー特有の臭気を緩和。周囲に不快感を与えにくい質へと変化させ、広範囲への拡散に伴う指摘を抑制するに至りました。
添着炭とは、活性炭に特定の臭気成分と反応する薬品を添着させ、特定の分子を効率よく吸着できるよう加工した吸着剤です。
多品種少量生産により、日ごとに排気成分が変動する惣菜工場の複合臭への対応に適しています。特に敷地境界線付近において、複数のラインから集約された排気を最終的に処理する仕上げ工程として導入されるケースが見られます。
揚げ物や煮物工程など、高温多湿で油煙を伴う排気に適した手法です。水や薬液のシャワーで臭気成分を捕捉・洗浄するため、フィルター方式で懸念される油分による目詰まりのリスクを低減できます。
HACCPに基づく衛生管理の観点からも、ダクト内の汚れ蓄積を抑制し、清潔な排気環境を維持する上で有効に機能するでしょう。
惣菜工場で発生する調理残渣の保管庫や、排水処理設備(グリストラップ)から生じる不快な腐敗臭の抑制に適した方法です。
微生物が硫化水素などの成分を分解する仕組みのため、24時間稼働させる環境下でも薬剤コストを抑えられ、常時発生する臭気への継続的な対策として選ばれています。
フライヤー(揚げ物機)を使用する惣菜工場では、排気に含まれる油(オイルミスト)対策が欠かせません。
油分を除去せずに脱臭装置を通すと、吸着剤が油膜で覆われて機能停止したり、ダクト内に油が蓄積して火災の原因になることがあります。必ずデミスターなどで前処理を行いましょう。
惣菜工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。惣菜工場内で加工している材料や製造工程によって、発生する臭気は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
コロッケや唐揚げ、天ぷらなどのフライ工程において、食用油が高温加熱・酸化される際に発生する成分です。
アクロレインは目や鼻への刺激を伴う特有のにおいを持ち、白煙と共に排出されるケースも少なくありません。使用する油の種類や調理内容によって、臭気の質が変動する点も特徴の一つです。
ハンバーグや焼き魚、炒め物などの加熱調理時に生じる成分です。食材のアミノ酸と糖が反応するメイラード反応による香ばしいにおいや、焦げた際の炭化臭などが該当します。
工場周辺に漂うと、生活環境における不快感や、衣類への付着といった指摘に繋がりやすい傾向があります。周辺環境との共生において、適切な排気管理が求められる成分です。
煮物やカレー、タレの調合工程などで発生する複合的な臭気です。肉や魚の加熱によるアミン類、酢や調味料由来の酸味を帯びたにおい(有機酸)、スパイスの香りなどが複雑に混ざり合っています。
蒸気に随伴して拡散する性質があるため排気の湿度が高く、気象条件によっては広範囲まで臭気が運ばれることもあります。
カット野菜の残渣や、魚の不可食部位、および排水処理施設(グリストラップ)から生じる成分です。
有機物が分解・腐敗することで、腐卵臭や玉ねぎの腐敗臭に似た不快臭を放ちます。衛生状態への懸念を招き、周辺住民の心証に影響を及ぼす可能性があるため、早期の発生源対策が望ましいでしょう。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。