悪臭防止法の規制基準は全国一律ではありません。都道府県や市などの自治体が、地域の実情に合わせて設定します。
本記事では、2つの規制方式である特定悪臭物質と臭気指数の違いを解説。
規制場所ごとに定められた第1号から第3号基準の詳細や、確認の進め方についても紹介します。
工場や事業場から排出される悪臭を規制し、住民の生活環境を保全することを目的とした法律です。規制対象は特定の業種に限られず、すべての工場や事業場が含まれます。
規制方式は2種類です※1。一つはアンモニアなど不快なにおいの原因となる22物質の濃度で規制する「特定悪臭物質」。
もう一つは、人間の嗅覚を用いてにおいの程度を数値化する「臭気指数」です。
複合臭にも対応できる臭気指数への移行が進んでいますが、においの成分で測るか、人間の感じる強さで測るかという違いはあっても、事業場にはどちらかの基準が必ず適用されます。
自社の工場が守るべき基準値を知るには、自治体の情報を確認しなければなりません。
悪臭は感覚公害であり、地域によって求められる快適さが異なるため、国が一律の数値を決めているわけではないからです。
国はあくまで基準の範囲を示し、その枠組みの中から都道府県知事や市長が規制地域を指定、具体的な数値を決定します※2。
例えば、閑静な住宅街では厳しい基準を、工業地帯では比較的緩やかな基準を設定するなど、用途地域ごとに使い分けられているのです。
全国共通の数値は存在しないため、自社の所在地でどの基準が適用されるかは、管轄の自治体への確認が不可欠になっています。
規制基準で用いられる数値が、体感としてどの程度のにおいかを知るには「6段階臭気強度表示法」※3が役立ちます。
6段階臭気強度表示法は、0(無臭)から5(強烈なにおい)までの6段階でにおいの強さを表す尺度です。
敷地境界線における規制基準は、一般的に臭気強度2.5から3.5相当の値で設定されます。強度2.5は「何のにおいかわかる弱いにおい」と「楽に感知できるにおい」の中間です。
数値だけではイメージしにくいにおいの強さを、人間の感覚と紐づけて理解するための重要な指標といえます。
悪臭防止法では、測定する場所によって3つの規制基準が設けられており、事業者はこれらすべてを遵守しなければなりません。
工場や事業場の敷地境界線における規制です。地表付近で拡散し、近隣住民に直接届くにおいを対象としています。
敷地境界線でのにおいは近隣住民からの苦情に直結するため、事業者が優先で確認し、対策を講じるべき基準です。
煙突や換気扇などの気体排出口における規制です。排出口から排出されたにおいが拡散し、地上に着地した時点で第1号規制基準(敷地境界線)の値を満たすように設定されています。
基準値は排出口の高さや排出ガスの流量によって変動するのが特徴です。
煙突が高ければ拡散効果で基準値は緩和されますが、流量が多ければ厳しくなるなど、計算に基づいた管理が求められます。
事業場から公共用水域へ排出される水に対する規制です。排水に含まれる特定悪臭物質の濃度を規制しています。
悪臭の原因は煙などの空気だけではありません。汚水に含まれるにおい成分が気化し、周囲に悪臭を漂わせるケースもあります。
排水処理施設や排水溝も規制の対象となるため、見落としのないよう管理が必要です。
悪臭防止法の規制基準は自治体によって異なり、場所ごとに第1号から第3号基準が設けられています。
自社の工場で対策を進めるには、まず管轄自治体の規制地域図や規制基準一覧を確認し、自社に適用される目標値を定めましょう。
定めた目標値をクリアするために、発生源や用途に適した脱臭装置を選定してください。
ただし、現場の条件に合わない製品を選んでしまうと、対策コストが無駄になるリスクもあります。また、安定して基準をクリアし続けるためには、脱臭装置の見直しも大切です。
「以前導入した装置の効果が落ちてきた」「消臭スプレー等の場当たり的な対応では追いつかない」などお悩みの方は、設置する「場所」を選ぶだけで適切な脱臭装置を選べる、以下の記事をぜひご覧ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。