飲料工場の製造工程で発生する独特な煮沸臭や焙煎臭、および排水処理に伴う臭気は、周辺環境への配慮が必要な事項です。
本記事では、ビールや茶系飲料などの現場における臭気課題を解消した導入事例とともに、設備の稼働状況に適合する効果的な対策方法について解説していきます。

| 設置場所 | ビール工場 |
|---|---|
| 臭気対象 | ビール製造時に発生するアルデヒド臭 |
| 脱臭方法 | 触媒燃焼式脱臭(CU-7EH) |
ビール工場における排気臭対策の導入事例です。製造工程からは特有のアルデヒド臭が発生しており、原臭の臭気濃度は25,000という高い数値を記録していました。
周辺環境への影響を考慮し、高濃度の臭気を効率的に処理できる脱臭装置の選定が課題となっていました。
エスポ化学の触媒燃焼式脱臭装置「CU-7EH」を導入しました。触媒による酸化分解プロセスを介することで、装置入口で濃度25,000だった臭気は、出口において濃度25まで低下しています。
除去率は99.9%に達し、ビール製造に伴うアルデヒド臭を大幅に低減。科学的な測定結果に基づいた適切な排気管理を継続しています。
| 設置場所 | 飲料製造工場の排水処理施設 (汚泥処理室・ホッパー) |
|---|---|
| 臭気対象 | 汚泥脱水工程および搬出時に発生する汚泥臭 |
| 脱臭方法 | 活性炭吸着脱臭 |
住宅が混在する地域に位置する飲料メーカー工場の事例です。南風が吹く日になると、周辺住民から製造物特有の臭気に関する指摘が寄せられる事態となっていました。
行政による現地調査の結果、原因は排水処理施設内の汚泥処理室と判明。脱水機から生じる汚泥臭、および搬出用ホッパーからの臭気拡散を防ぐ対策が急務となったのです。
汚泥処理室の換気口へ活性炭フィルターを設置し、開放されていた汚泥ホッパーには間仕切りカーテンを取り付けました。設備そのものを密閉・ろ過する物理的な対策を講じています。
フィルター交換にかかるランニングコストは年間約3万円に抑えられました。大掛かりな装置を導入せず、ポイントを絞った対策で臭気の拡散を低減し、排水処理に関する指摘を解消する実績を挙げています。
臭気成分を高温で加熱し、酸化分解する処理手法です。
触媒燃焼式や蓄熱燃焼式などの方式があり、ビール醸造時の特有なアルデヒド臭、コーヒー・茶葉の焙煎工程で生じる高濃度の焦げ臭やVOC(揮発性有機化合物)の低減に適しています。
幅広い成分に対応できる、汎用性の高さが特徴的な方式といえるでしょう。飲料工場においては、焙煎や調合工程の排気など、比較的低濃度ながら複合的な臭気に対し安定した性能を発揮します。
特定の臭気(硫黄系など)に特化した添着炭を選定すれば、敷地境界線付近での仕上げ対策としても有効です。
釜での煮沸や殺菌工程など、高温多湿な排気が発生する工程に適合する手法です。水や薬液のシャワーを用いることで、蒸気に含まれる水溶性の臭気成分を効率よく洗い流します。
フィルターの目詰まりリスクを抑えつつ、粉塵を同時に除去して排気ダクトの衛生維持に寄与する点もメリットです。
排水処理施設や汚泥保管室から発生する、腐敗臭や硫黄系の臭気への対応に適しています。微生物による分解プロセスを利用するため、薬品などのランニングコストを低減可能です。
濃度変動が少ない環境下での運用に向いており、環境負荷を抑えた脱臭計画に寄与します。
コーヒー豆や茶葉の焙煎工程においては、排気中に微細な油分(タール)が含まれる傾向にあります。この排気を脱臭装置へ直接導入すると、吸着剤や充填材の表面に油分が付着して目詰まりを引き起こし、短期間で脱臭性能を損なう要因となり得ます。
あらかじめデミスターなどの前処理設備で油分を物理的に捕集し、負荷を低減した状態で脱臭工程へ移行するのが理想的な運用といえるでしょう。この工程を挟むことで、装置の長期安定稼働に加え、ダクト内の堆積物による火災リスクの抑制にも寄与します。
飲料工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。飲料工場内で加工している材料や製造工程によって、発生する臭気は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
鼻を刺すような刺激臭が特徴です。飲料工場では主に排水処理施設の負荷増大や、有機物の腐敗プロセスにおいて発生します。
また、冷凍設備の冷媒ガス漏れが起因となるケースも想定されるため、脱臭対策と並行した設備の保守点検が欠かせません。
不快感の強い腐卵臭や、玉ねぎの腐敗臭に分類されます。排水処理場の汚泥貯留槽、あるいは茶殻や果皮といった原料残渣の腐敗により生じる成分です。
においを感知できる濃度(閾値)が極めて低く、微量でも広範囲に漂いやすいため、周辺環境への配慮が必要な物質といえます。
コーヒーや茶葉を加工する際に生じる、香ばしさと焦げ感の混じった独特の臭気です。一般的には好まれる香りであっても、高濃度で連日放出されることで、近隣住民にとっては不快感の要因となり得ます。
粉塵やタールを伴うケースが多く、排気設備への付着対策も同時に検討すべき課題です。
果汁やシロップによる甘い香り、または発酵工程に由来するアルコール臭や酸臭です。製造現場では芳醇な香りであっても、大気中で成分が混ざり合うことで、不快なムレ臭へと変化する性質を持っています。
湿度を帯びた排気として放出されることが多く、広範囲に拡散しやすい点が特徴です。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。