住宅街に位置する給食センターにとって、大量の調理から発生する「油煙」と「複合臭」への対策は、地域共生における最優先課題です。
本記事では、近隣住民や児童への影響を懸念する現場が、悪臭問題を根本から解決した導入事例や、給食センター特有の臭気に特化した脱臭手法を詳しく解説。
施設の安定運営と、信頼される食の拠点づくりをサポートします。
回転釜で多量の野菜(キャベツや玉ねぎなど)を加熱する際に発生する、調理現場特有の甘く重たい煮込み臭です。
野菜由来の硫黄成分が加熱によってガス化したもので、湿気を含んだ排気として遠方まで漂いやすく、近隣住民からの指摘を招く主な要因となります。
連続フライヤーや回転釜で多量の油を高温で使用する際に発生します。油の酸化に伴って目や鼻に刺激を与える青白い煙(オイルミスト)として放出されるのが特徴。
放置すると建物への油分付着や、洗濯物へのニオイ移りといったトラブルに直結する恐れがあります。
焼き魚や煮魚などのメニュー時に発生する、生臭さを伴う特有の加熱臭です。数千食規模の魚を一斉に調理するため、一般的な厨房とは比較にならない濃度の臭気が発生します。
アルカリ性の性質を持つため、酸性の臭気(野菜臭など)とは異なるアプローチでの対策が求められます。
調理残渣や排水ピット、グリストラップなどで発生する臭気成分です。
有機物の滞留によって腐った卵や玉ねぎのような不快臭へと変化し、敷地境界線付近での悪臭防止法遵守に影響を及ぼす可能性があります。
バックヤードにおける衛生管理と脱臭の両立が不可欠です。
給食センターでは、フライヤーを使用した揚げ物や炒め物などを大量に調理するため、排気中に微細な油分であるオイルミストが多く含まれることがあります。この油分を十分に除去しないまま後段の脱臭装置へ送り込むと、脱臭性能や設備寿命に影響を及ぼす可能性があります。
特に活性炭や脱臭フィルターを使用する方式では、油分や塵埃がフィルター表面に付着することで目詰まりが進み、圧力損失の増加や脱臭性能の低下、フィルター交換周期の短縮につながります。また、排気ダクト内に油脂が蓄積すると、清掃負担が増えるだけでなく火災時の延焼リスクを高める要因にもなるため注意が必要です。
そのため、給食センターの厨房排気では、メインの脱臭装置より前にグリスフィルターやグリスエクストラクターなどのグリス除去設備を設置し、油分を物理的に捕集することが重要です。油煙量が多い系統では、必要に応じて電気集塵機などを組み合わせ、より微細なオイルミストまで段階的に除去する方法も検討できます。
前処理設備を追加すると一定の導入費用は必要になりますが、後段の脱臭フィルターや吸着材へ流入する油分を減らすことで、フィルター交換回数や清掃作業を抑え、長期的な維持費の削減につながります。脱臭装置単体の価格だけではなく、「オイルミスト除去+脱臭」を一つの排気処理システムとして比較することがポイントです。
給食センターの悩みを解決する脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。給食センターの調理工程や扱っている食品の種類によって、発生する臭気は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
給食センターでは、揚げ物や焼き物、煮炊きなどを大量に行うため、一般的な厨房よりも処理風量が大きく、複数の調理臭が混ざった排気が発生します。特に学校敷地内や住宅地に近い施設では、排気されたにおいが児童や周辺住民の生活環境へ直接影響しやすいため、設備計画の段階から周辺への臭気拡散を考慮することが重要です。
脱臭装置を選定する際は、必要な脱臭性能だけではなく、処理風量、排気温度、油煙量、設置スペース、予算、メンテナンスにかけられる工数なども確認します。施設条件と必要な処理性能を整理したうえで、複数の脱臭方式を比較することが過剰投資や能力不足を防ぐポイントです。
悪臭防止法では、規制地域内の工場・事業場について、敷地境界線の「1号規制基準」、気体排出口の「2号規制基準」、排出水の「3号規制基準」が設けられています。
給食センターでは、揚げ物の油臭、魚料理の生臭さ、野菜を煮炊きした際の硫黄系臭気、焦げ臭など、複数のにおいが混ざり合います。こうした調理臭は単一成分だけで評価しにくく、風向きや排気口と住宅・校舎との位置関係によっても周辺への影響が変わります。
特に住宅や学校と近接する給食センターでは、排気口で一定の脱臭効果が得られていても、実際に敷地境界線や周辺の生活空間でどの程度の臭気になるかまで確認することが重要です。
なお、悪臭防止法の規制方法には、特定悪臭物質の濃度による規制と、人間の嗅覚を用いて複合的なにおいを評価する臭気指数規制があります。どちらが適用されるか、また具体的な基準値は地域によって異なります。臭気指数規制を採用している地域では、所在地の1号規制基準と現状の臭気を比較し、必要な低減性能を設定したうえで脱臭装置を選定しましょう。
給食センターで検討される代表的な脱臭方式について、一般的な費用や維持管理、設置条件の傾向を比較しました。
| 方式名 | 得意な臭気 | 初期費用の 目安 |
維持費用の 目安 |
メンテナンス頻度 | 設置スペース |
|---|---|---|---|---|---|
| 活性炭 脱臭 |
煮炊き臭:○ 複合臭:○ 油煙:△ |
低~中 | 中~高 活性炭交換費など |
定期 吸着性能を確認して活性炭を交換 |
小~中 |
| 薬液 スクラバー |
煮炊き臭:○ 水溶性臭気:◎ 油煙:△~○ |
中~高 | 中~高 薬品・水・排水処理費など |
高 薬液・pH・ノズル・循環水などを管理 |
中~大 |
| 光触媒 脱臭 |
煮炊き臭:○ 複合臭:○ 油煙:△ |
中~高 | 低~中 電力・ランプ等の維持費 |
低~中 触媒・光源などを定期点検 |
小~中 |
| バイオフィルター 脱臭 |
調理臭:△ 腐敗臭:○~◎ 硫黄系臭気:○ |
中~高 | 低~中 | 中 水分・温度・充填材などを管理 |
大 |
※上表は各方式の一般的な傾向を比較したものです。実際の設備費、維持費、脱臭性能、メンテナンス頻度は、処理風量、臭気濃度、排気温度、油煙量、稼働時間、設備仕様などによって異なります。
例えば、設置スペースが限られる給食センターでは、比較的コンパクトに構成しやすい活性炭や光触媒が候補となります。光触媒方式には、触媒表面で臭気成分を分解し、触媒を繰り返し使用できる製品もあり、フィルター廃棄や交換に伴う負担を軽減できる場合があります。
ただし、活性炭などのフィルター方式へ油煙をそのまま送り込むと、交換周期が短くなる可能性があります。フライヤーの使用量が多い施設では、グリス除去装置などによるオイルミストの前処理を含めて維持費を比較する必要があります。
一方、大風量かつ高温・多湿な排気を処理する場合は、水や薬液を用いるスクラバーが候補になります。薬液や循環水の管理は必要ですが、排気条件に合わせた洗浄処理を行える点が特徴です。
バイオフィルターは、給食調理そのものの排気よりも、グリストラップや残渣保管庫などから継続的に発生する腐敗臭・硫黄系臭気への利用を検討しやすい方式です。給食センターではすべての臭気を一つの装置で処理するのではなく、発生源ごとに適する方式を使い分けることも重要です。
このように、脱臭性能、設置面積、導入費、交換部品や薬品にかかる維持費、日常管理の工数を総合的に比較し、施設規模や排気条件に合った方式を選定しましょう。
炭表面の微細な穴で臭気を物理的に吸着する方法です。
調理臭のような「複合臭」の脱臭に適合しており、特定の臭気に合わせた添着炭を用いることで、より狙い通りの効果を得やすくなります。
ただし、給食センターの排気には油分が多く含まれるため、単体では目詰まりを起こしやすい側面があります。
前処理装置で「油煙」と「強い臭気」を低減させた後、仕上げとして残った微細なにおいを低減させる役割に適しています。
水や薬液のシャワーで排気を洗浄・中和する方法です。高温多湿な排気や、油分を含む排気への耐性が高く、臭気とともにダクト内の汚れを洗い落とす物理的な洗浄効果も期待できます。
大量の揚げ物や煮込み料理を行う給食センターにおいて、安定した排気品質を維持したい現場に選ばれています。
微生物の分解作用を利用して臭気成分を無害化する方法です。給食センターのグリストラップ(排水処理設備)や残渣保管庫から発生する、硫黄系の下水臭や腐敗臭に効果を発揮します。
調理場本体の排気よりも、汚水や生ゴミが滞留しやすく、腐敗臭が定常的に発生するバックヤードの環境改善に向いています。
| 設置場所 | 学校給食センター(排気設備) |
|---|---|
| 臭気対象 | 給食センターから排出される調理臭 (揚げ物、煮・炊き物) |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
東海地方の小学校敷地内にある給食センターの導入事例です。調理場から漂うにおいが風に乗って校舎へ流れ込み、吐き気を催す児童が出るほど深刻な状況が生じていました。
調査の結果、排気口だけでなく給気ファンの不具合による臭気漏れも発覚。
設備全体の再整備を進めると同時に、校舎全域へ広がる調理臭を効率よく低減させる、確実性の高い脱臭対策が急務となっていました。
日本デオドールの中和脱臭装置「VFDシリーズ」を導入しました。大規模な排気風量に対応するため、消臭剤を効率よく供給できるファン付きの特別仕様を採用しています。
導入後の臭気測定では、臭気濃度を約84%除去(1,000から160へ低減)することに成功し、発生していた苦情はなくなりました。
タイマー運転によりランニングコストを抑制でき、故障のリスクを抑えたシンプルな構造で長く安定運用できる点も評価されています。

| 設置場所 | 学校給食共同調理場 |
|---|---|
| 臭気対象 | 給食調理に伴う調理臭 |
| 脱臭方法 | 光触媒脱臭(PCF® 光触媒脱臭装置) |
千葉県K市にある学校給食共同調理場の事例です。
給食調理時に発生する複合的な調理臭は、周辺環境への影響を考慮し、地域住民の生活環境に即した適切な排気対策が求められていました。
東洋エンジニアリングの「PCF® 光触媒脱臭装置」を導入しました。流体力学に基づいた設計による省スペース化と、光触媒の自己再生機能による長寿命化が特徴の製品です。
紫外線と光触媒の酸化分解作用により、臭気成分を二酸化炭素と水に無害化する仕組み。
排出地区の規制基準をクリアする排気品質を実現し、フィルター廃棄の手間を抑えた環境負荷の少ない運用を可能にしています。
| 設置場所 | 給食センター・学校給食調理室 (厨房排気系統) |
|---|---|
| 臭気対象 | 厨房・調理排気臭 |
| 脱臭方法 | セラミックフィルター脱臭 (ゼオガイア) |
給食センターや学校給食調理室における事例です。近年、住宅地に近接する施設では、悪臭防止法に基づく規制値の遵守が厳格に求められています。
しかし、給食センターでは調理内容ごとに排気系統が複数に分かれ、処理風量も多岐にわたります。
現場に適合する装置スペックの選定には、敷地境界線までの距離や原臭濃度を考慮した、専門的な設計指針が必要とされていました。
採用したのはカルモアのセラミックフィルター脱臭装置「ゼオガイア」です。
軽量かつコンパクトな設計により限られたスペースへの設置を可能にし、フィルター交換などのメンテナンスが容易な点も導入のポイントとなりました。
実測の結果、装置入口の臭気濃度3,200に対し、装置出口では160まで低減。脱臭効率95%を達成し、敷地境界線においても臭気指数10未満(下限値)を実現しました。
これにより、法令に基づいた確実な臭気管理を可能にしています。

| 設置場所 | 中学校給食センター |
|---|---|
| 臭気対象 | 調理排気臭 |
| 脱臭方法 | 中和消臭器 |
中学校の給食センターにおける脱臭装置の導入事例です。成長期の生徒に提供する大量の給食を調理するため、周辺環境への配慮として、高い脱臭効果を持続できるシステムが求められていました。
日本デオドールの中和消臭器を導入しました。中和消臭方式は、におい成分に対して消臭剤を気化させて反応させることで無臭化を図るため、給食センター特有の複合的な調理臭に対しても高い効果を発揮します。施設規模に合わせた柔軟な設計により、導入後は以下のような実績を出しています。
導入設備数:計3台
稼働実績期間:約1年経過
稼働後の臭気苦情:0件
長期にわたり安定した性能を維持し、近隣住民への影響を抑えた給食センターの運営を実現しています。

| 設置場所 | 給食センター(厨房排気ダクト6系統) |
|---|---|
| 臭気対象 | 厨房排気臭 |
| 脱臭方法 | 中和消臭器 |
周囲を戸建住宅に囲まれた立地にある給食センターの事例です。このような環境では、風向きや気象条件によって厨房からの排気臭が直接住環境に影響を及ぼすため、より厳密な脱臭装置の選定と運用が不可欠となります。
給食センターでは調理メニューや時間帯によって稼働する排気系統が異なるため、各系統に対して的確にアプローチできる独立した運用が効果的です。施設内の厨房排気ダクトに対して、以下の運用が行われました。
導入設備数:全6系統へ設置
運用方法:うち2台はタイマー運転
稼働後の臭気苦情:0件
タイマー運転を組み込むことで、消臭剤の消費を抑えつつ必要な時間帯のみ確実に稼働する仕組みを構築。導入後は近隣からの臭気苦情もなく、地域と共生する給食センターの運営に貢献しています。

| 設置場所 | 保育園の給食室 |
|---|---|
| 臭気対象 | 給食調理臭 |
| 脱臭方法 | 中和消臭器 |
保育園内の給食室において厨房排気対策を行った事例です。園児や近隣住民が快適に過ごせる環境を維持するため、安全性が高く、確かな効果を発揮する給食センター向けの脱臭装置が求められました。
日本デオドールの中和消臭器は、植物精油を主体とした消臭剤を使用しています。この特性から、小さなお子様が過ごす保育園や学校などの集団給食施設でも導入しやすいという特徴があります。厨房排気に適したシステム設計により、調理時に発生する特有のにおいを効果的に抑え込み、良好な環境づくりをサポートしています。

| 設置場所 | 中学校給食調理室 |
|---|---|
| 臭気対象 | 給食調理臭 |
| 脱臭方法 | セラミックフィルター脱臭 |
カルモアの脱臭装置を中学校の給食調理室に導入した事例です。給食センターや調理室で発生する複合的な調理臭を、高性能なフィルターによって的確に捕集・脱臭します。
導入前後の臭気濃度の変化を測定した結果、以下のような高い脱臭性能が実証されました。
入口臭気濃度:790
出口臭気濃度:100
除去率:87.3%
このように数値を明確に下げることで、周辺環境への悪臭の拡散を防ぎ、施設のクリーンな運営を実現しています。

| 設置場所 | 恵比寿ガーデンプレイス(厨房排気) |
|---|---|
| 臭気対象 | 厨房排気臭 |
| 脱臭方法 | セラミックフィルター脱臭 |
大規模な商業施設の厨房排気に対して、脱臭装置を導入した事例です。給食センターと同様に、複数の調理ラインから排出される大風量かつ高濃度の複合臭を処理する能力が求められます。
稼働時の臭気測定データは以下の通りです。
入口臭気濃度:1,600
出口臭気濃度:230
除去率:85.6%
入口で1,600という強い臭気濃度を出口では230まで引き下げており、大風量・高濃度の排気環境においても優れた脱臭性能を発揮しています。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
対応できる臭い
調理油/魚類/肉類/揚げ物/煮炊き排気/生ゴミ/カビ/硫化水素/スチレン/硫化メチル
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
対応できる臭い
香料/樹脂/フェノール/キシレン/酢酸ブチル/コーティング機排気/酢酸エチル/シアン化水素/アンモニア/1,2,4-トリメチルベンゼン
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
対応できる臭い
高濃度アンモニア/硫化水素/硫黄系臭気
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。