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脱臭装置の温度・湿度による性能低下

脱臭装置を導入した当初は高い効果を得られていても、「夏場になると急に性能が落ちる」「特定の製造工程からの排気を通すとニオイが残りやすい」といったトラブルに直面することがあります。

脱臭装置の多くは、対象ガスの「濃度」や「成分」だけでなく、気流の「温度」や「湿度」によって処理効率が変動します。
本記事では、温湿度の変化が各脱臭方式に与える影響や、性能低下を防ぐための前処理対策・装置の選び方について解説します。

排気の「温湿度特性」から見る脱臭方式の選び方

脱臭装置は、処理するガスの温度や湿度の条件によって、そのまま対応できる方式と、前処理設備(冷却や除湿)が必須となる方式に分かれます。
各方式が持つ温湿度への耐性と特性の全体像をご確認ください。

脱臭方式の分類 温湿度への耐性 実務上の特性とポジショニング
燃焼式脱臭、薬液スクラバー 非常に強い ガス温度が50℃〜100℃以上の高温域や、湿度が飽和状態であっても処理効率が低下しにくい。ボイラー排気や大型乾燥炉などの過酷な連続プラントに最適。
乾式活性炭吸着、ゼオライト等 弱い(制限あり) 常温常湿(30℃以下、60%RH以下)であれば高い除去効率を発揮。高温多湿ガスに適用する際は、前段に冷却・除湿の付帯設備が必要(※ゼオライトは比較的熱に強いが常温域が理想)。
オゾン脱臭、イオン放電式等 弱い(専用制御を推奨) 高湿度環境では放電効率の低下や機器の腐食リスクあり。エアドライヤ内蔵型や、外気吸引・希釈室外噴霧構造のシステムを適切に選ぶことで手軽さを活かせる。

気温や湿度の変化が脱臭装置に与える影響

環境の温湿度変化が、各脱臭技術の内部でどのような物理的・化学的な性能低下を引き起こすのか、そのメカニズムを紐解きます。

1. 排気温度の上昇による影響(40℃の限界境界線)

活性炭などを用いた「物理吸着方式」において、排気温度はフィルター寿命を左右する極めて重要な要素です。
吸着材の細孔(目に見えない微細な穴)に臭気分子をトラップする力は、温度の上昇に伴って弱まります。

一般的に排気温度が40℃を超えると、臭気分子の熱運動が活発になり、一度捕集されたニオイ物質が再びガス中に放出される「脱着現象」が優位になります。
これにより、脱臭効率に影響が出るだけでなく、フィルターの交換サイクル(破過時間)が設計時の数分の一に縮まってしまうリスクがあります。

なお、同じ吸着材でも無機結晶である「ゼオライト」は、可燃物である活性炭に比べて熱や発火に対する耐性が比較的高いという特徴があります。
ただし、ゼオライトであっても温度が低い方が高い吸着効率を得られる点に変わりはありません。

2. 高湿度による影響(水分吸着の30%ルール)

梅雨時から夏場にかけての日本の高湿度環境(相対湿度80%RH以上)も、乾式の吸着フィルターにとっては大敵です。
空気中に大量の水蒸気が存在すると、吸着材の表面で臭気分子と水分子による「席の奪い合い(競合吸着)」が発生します。

元の重量に対して約30%以上の水分を吸い込んでしまった活性炭は、本来のニオイ成分をトラップする能力が急激に低下してしまいます。

また、フィルターに水分や油分が溜まると目詰まりを起こし、ダクト系統全体の通風抵抗(圧力損失)が急増します。
これによって排気ファンに過大な負荷がかかり、モーターの異常発熱や、最悪の場合は風量そのものの急減による脱臭失敗の引き金になるケースもあるため注意が必要です。

3. 放電式脱臭における「硝酸」の腐食リスク

オゾンやプラズマなどの放電型消臭機も、高湿度(結露)の干渉を強く受けます。
放電部が湿気や水分に晒されるとオゾンの生成効率そのものが大きく減衰するだけでなく、放電エネルギーによって空気中の窒素と水分が結合し、強酸性物質である「硝酸」が生成される原因になります。

この硝酸が放電管や周囲の回路基板を急激に腐食させ、機器の製品寿命を著しく縮めてしまうため、湿度の高い厨房排気やビルピット排水槽などで使用する際は、湿気対策が施されたシステム選定が必須条件となります。

温湿度変化による性能低下を防ぐ
前処理設備チェックリスト

過酷な排気環境であっても脱臭装置の性能を安定して通年維持するために、導入設計時に検討すべき「前処理」の手法を整理しました。

■ 排気ガスの温度対策(冷却)

ダクト内の排気温度が日常的に40℃を超えるボイラー近傍や乾燥工程などの場合は、脱臭装置の直前に排気を冷やす設備を設けます。
代表的な手法として、熱交換器(ラジエーター式のプレクーラー)の設置や、前段で水を直接スプレーしてガスを冷却する湿式スクラバーとの併用(ハイブリッド脱臭)が有効です。

■ 飽和水蒸気・高湿度の対策(除湿)

水分を多く含むガスの場合は、機械的に水滴を分離・遮断する「プレデミスター(ミストセパレーター)」を設置するのが基本です。
また、ダクト内に電気ヒーターなどの再熱器を設け、ガスの温度をわずかに上げることで「相対湿度を60%RH以下に下げる」という高度な流体エンジニアリング手法も、吸着効率の維持に大きく貢献します。

まとめ:通年の気候変動を見据えたより確実性の高い装置選びを

脱臭装置の選定において、特定の季節や一時的な測定データだけで判断するのは不十分です。
夏場の高温多湿、冬場の乾燥や微生物活性の低下など、年間を通じた温湿度の変化(季節要因)を予測し、前処理も含めたトータルコストで比較検討することが、性能低下やトラブルを防ぐための適切なアプローチとなります。

当メディアでは、各脱臭方式の詳しい仕組みや、実際の設置場所ごとの導入事例も多数掲載しています。現場の環境にマッチした装置を見つけるための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

対応できる臭い

調理油/魚類/肉類/揚げ物/煮炊き排気/生ゴミ/カビ/硫化水素/スチレン/硫化メチル

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

対応できる臭い

香料/樹脂/フェノール/キシレン/酢酸ブチル/コーティング機排気/酢酸エチル/シアン化水素/アンモニア/1,2,4-トリメチルベンゼン

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

対応できる臭い

高濃度アンモニア/硫化水素/硫黄系臭気

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選