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化学工場の脱臭装置導入事例から学ぶ臭気対策

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化学工場における臭気対策は、近隣住民との良好な関係維持や、作業員の労働安全衛生を確保する上で極めて重要な事項となります。

本記事では、工場長や生産管理担当者の方に向けて、化学工場特有の課題に即した脱臭方法や、発生成分ごとの特徴について詳しく解説していきます。工場の安定稼働と環境負荷低減、周辺地域への配慮の両立に、ぜひお役立てください。

脱臭装置を導入した
化学工場の事例

省スペースな屋外仕様装置で
近隣住宅への塗装苦情を解決

屋外仕様の中和消臭器DC-4YO
引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/dc-exa08.html)
排気ファンの手前への消臭剤挿入
引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/dc-exa08.html)
屋外仕様の中和消臭器DC-4YO
排気ファンの手前への消臭剤挿入
設置場所 金物類製造工場
(塗装工程・屋外排気ダクト系統)
臭気対象 塗装時に発生する有機溶剤臭
(キシレン、エチルベンゼンなど)
脱臭方法 中和消臭

導入背景:
限られた設置スペースと周辺住宅への臭気到達が課題

金物類を製造する工場の塗装工程における事例です。工場の隣接地には住宅があり、塗装時に発生するキシレンやエチルベンゼンなどの有機溶剤臭が住居側に回り込んでしまい、近隣住民から臭気に関する苦情が寄せられていました。周辺環境への配慮から、早急な排気臭の改善対策が求められていました。

しかし、既に稼働している製造工場であったため、設置スペースなどの問題から大がかりな大型脱臭装置を導入することが難しい状況にありました。そこで、限られたスペースでも柔軟に設置ができ、有機溶剤系の臭気対策において豊富な実績を持つ日本デオドールの中和消臭システムが検討されました。

導入後:
コンパクトな中和消臭器でにおいを改善し苦情を解消

屋外環境で使用可能な中和消臭器「DC-4YO」を導入しました。排気ダクト内に気化した専用の消臭剤をダイレクトに挿入し、揮発性有機化合物と反応させることでにおいを中和消臭します。大がかりな制御を必要とせず、シンプルな仕組みでランニングコストを低く抑えた運用体制を確立しました。

運転開始後、排気口付近での刺激臭やペンキ臭が大幅に低減し、近隣からの臭気苦情を解消することに成功しました。機器本体は屋上ではなく日常的なメンテナンスがしやすい1階の空きスペースに設置したため、管理面でも好評です。工場の安定稼働と安心できる操業環境の両立を実現しました。

※参照元:日本デオドール公式HP(https://deodor.co.jp/dc-exa08.html

新規生産ラインのスチレン・アセトン排気を
不燃性フィルターで安全に解決

化学工場の脱臭装置設置事例
引用元:カルモア公式HP
(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/filter_factory/casestudy-33668/)
設置場所 樹脂製造工場
(新規生産ライン・排気ダクト2系統)
臭気対象 新規ラインから発生する有機溶剤臭
(スチレン、アセトン)
脱臭方法 セラミックフィルター脱臭
(ゼオガイア)

導入背景:
防爆区域における火災リスクとユーティリティの欠如が課題

樹脂等を製造する化学工場において、スチレンを扱う新たな生産ラインを増設する際の事例です。スチレン使用後の機器洗浄にはアセトンを用いるため、これら有機溶剤の臭気対策が急務でした。しかし、工場内の設置エリアが防爆区域に指定されており、爆発や火災を引き起こさない極めて厳格な安全配慮が必要とされました。

当初検討された活性炭は、アセトンと反応して発熱し発火するリスクがあるため採用できません。また、有機溶剤に有効な燃焼装置は、多額のコストや広大な設置スペースの面から断念せざるを得ませんでした。さらに、新設ラインには電気や水などのユーティリティ設備がなく、導入への大きな障壁となっていました。

導入後:
電気・水不要の不燃性装置により低コストで効率90%以上を達成

火災リスクの低い不燃性のセラミックフィルター脱臭装置「ゼオガイア」を選定しました。同装置は水や電気などのユーティリティを必要としないため、インフラを構築するコストと時間を大幅に削減できます。導入前のデモテストでは、実際の成分を用いて初期性能で90%以上の高い脱臭効率を実証しました。

設置後は厳しい消防点検も無事にクリアし、安全な操業環境を迅速に整えることができました。予算枠や稼働までの限られた時間内に間に合わせた対応力が評価され、現在では別ラインの脱臭対策も追加でご相談いただいています。科学的根拠に基づく設計により、安全かつ低コストな排気管理を継続しています。

※参照元:カルモア公式HP(https://www.karumoa.co.jp/casestudy/filter_factory/casestudy-33668/)

限られたスペースとファンの静圧制限を克服し
工場内の強烈な香料(メントール)臭を吸着除去

フィルター製造工場の香料脱臭対策
引用元:共生エアテクノ公式HP
(https://www.201110.gr.jp/taisaku-jirei/#case024)
設置場所 フィルター製造工場
(香料添加工程・局所排気系統)
臭気対象 香料添加時に発生するメントール臭
脱臭方法 活性炭吸着脱臭
(活性炭脱臭装置 デオキーパー)

導入背景:
装置更新に伴う厳しい設置スペースと排気ファンの能力制限

フィルターを製造し、香料(メントール)を添加する工程を持つ工場の事例です。従来より局所排気装置を設けて屋外へ排出していましたが、既存の脱臭装置が更新時期を迎えていました。これを機に、より省スペースで高い脱臭性能を発揮できる新しい脱臭システムの導入を検討することとなりました。

排気風量が200CMM(風量換算で毎時12,000立米)とそれなりに多く、設置可能なスペースが非常に限られている点が大きな課題でした。また、既設の排気ファンの余力(静圧)に制限があり、装置による圧力損失(空気の流れにくさ)をいかに抑えるかという技術的な高いハードルを抱えていました。

導入後:
空気の流入方法の工夫により排気ファンの負荷を1/4に低減

限られたスペースに収まるコンパクトな活性炭脱臭装置「デオキーパー」を採用しました。過去の測定結果から最適なヤシ殻破砕炭を640kg充填する設計を行いました。さらに、本来なら400Pa程度の静圧が必要となる仕様でしたが、空気の流入方法を工夫することで、初期の圧力損失を100Paまで低減させました。

この高度なダクト設計により、排気ファンに無理な負荷をかけることなく、安定した風量での脱臭運用をスタートさせることができました。事前の検証デモテストを行う時間がないという厳しいスケジュールの中、過去の豊富な知見を基にした確かな設計技術で、限られた予算と時間内に無事対策を完了させました。

※参照元:共生エアテクノ公式HP(https://www.201110.gr.jp/taisaku-jirei/#case024

化学工場の臭気対策に
効果的な脱臭方法

燃焼式脱臭装置

有機溶剤(VOC)などの高濃度な臭気成分を、高温で直接または触媒を用いて酸化燃焼させ、水と二酸化炭素に分解する装置です。非常に高い脱臭効率(99%以上)を誇り、化学合成プロセスや塗装工程などから発生する、極めて濃度の高い有機系ガスに対しても確実な効果を発揮します。

また、排熱を回収して工場のエネルギーとして再利用できるシステムもあり、長期的なランニングコストの最適化を図ることも可能です。燃焼方式には、直接燃焼、触媒燃焼、蓄熱燃焼(RTO)などがあり、工場の稼働状況に合わせて選定されます。

スクラバー脱臭装置

酸性やアルカリ性の腐食性ガス、あるいは水溶性の臭気成分が多く含まれる排気に適した方法です。タワー内に薬液を循環させ、上昇する排気ガスに薬液のシャワーを接触させて中和・吸収・溶解させる仕組みを持っています。化学薬品の製造やメッキ工場などで発生する刺激臭への対応に優れた実績を持ちます。

また、排気中に含まれるダスト(微粒子)を同時に捕捉して除去する効果もあるため、後段に別の脱臭フィルターを配置する場合の長寿命化にも寄与します。使用する化学物質に応じて、中和に最適な薬液の管理が求められます。

活性炭吸着脱臭装置

多孔質で吸着力の高い活性炭フィルターを用いて、排気中の臭気分子を物理的に捕捉する装置です。比較的低〜中濃度の有機溶剤(VOC)や、多種多様な成分が混ざり合った複合臭に対して汎用性が高く、化学工場の排気系統に幅広く採用されています。設備構造がシンプルなため、初期コストを抑えられる点がメリットです。

設置スペースもコンパクトに収まりやすく、既存の排気ダクトの末端などに後付けで設置しやすい柔軟性も備えています。ただし、活性炭が飽和に達した段階で定期的なフィルター交換が必要となるため、ライフサイクルコストの計算が重要です。

化学工場の臭気対策で
必須となる前処理

ダスト・タール・ミストの除去

化学反応や高温プロセスを伴う排気では、脱臭装置にガスを直接導入するのを避けるのが通例です。排気に含まれる多量の微粉塵(ダスト)や、重質成分(タール)、薬品ミストなどが脱臭装置の内部にそのまま入り込むと、フィルターの即時目詰まりや吸着能力の低下、さらには故障やトラブルを招くリスクが生じます。

特に燃焼式装置における触媒の劣化(被毒)や、活性炭の性能低下を防ぐためには、前段にプレフィルターやデミスターを配置して、油分やミスト、固形分を物理的に捕集することが推奨されます。これらを除去したクリーンな状態で本脱臭を行うことが、長期的かつ安定的な運用のための鍵です。

CHECK

化学工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方

重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。化学工場内で使用する原料や製造・反応プロセスによって、発生する臭気成分は大きく異なります。

ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。

当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。

化学工場で発生する
臭気の種類と特徴

VOC(揮発性有機化合物)・有機溶剤

トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの有機溶剤は、塗料や接着剤、医薬品の製造プロセスにおいて広く使用されています。これらが大気中に揮発すると、独特の強い溶剤臭(シンナー臭)となり、周辺地域への不快感だけでなく、健康被害や光化学スモッグの発生原因となるため、厳格な法規制が敷かれています。

排出される濃度や風量により、燃焼式による熱分解や、活性炭による吸着といった適切な脱臭アプローチを使い分ける必要があります。

硫黄化合物(メチルメルカプタン・硫化水素など)

化学合成プロセスや中間体の製造工程などで発生する、強い腐卵臭や青臭さを伴うガスです。人間の鼻が臭いを検知する閾値(しきいち)が極めて低いため、ごく微量の漏洩であっても周辺住民から苦情が寄せられる原因になります。また、機器を腐食させる性質を持つため、ダクト等の建材選定にも注意が必要です。

酸性やアルカリ性の性質に応じて、薬液スクラバーによる中和・洗浄処理や、専用の添着炭フィルターによる化学吸着が適合します。

酸性ガス・アルカリ性ガス

塩化水素、フッ化水素ガスやアンモニア、アミン類など、目や鼻を刺す強烈な刺激臭を持つガスです。これらは化学薬品の混合反応や精製段階、熱分解などで生じやすく、吸い込むと人体に害を及ぼすため排気管理が厳しく求められます。また、配管やファンなどの設備自体を激しく腐食させる点も課題となります。

ガスが親水性や化学反応性を持つことが多いため、水や適切な薬品をシャワー状に接触させて中和・除去する薬液スクラバーが極めて有効な対策となります。

低級アルデヒド類

樹脂製造や有機合成、酸化プロセスの段階で発生しやすい、ツンとした刺激臭が特徴の成分(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなど)です。これらは少量でも不快感が強く、かつ発がん性やアレルギーを引き起こす可能性が指摘されているため、周囲への漏洩を完全に防ぐ、高い捕集率の対策が不可欠です。

濃度や排気条件に応じ、高温での酸化燃焼を行う燃焼式脱臭装置や、特定の薬品を添着した活性炭を用いた物理的・化学的吸着が推奨されます。

他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選