廃棄物処理施設における臭気対策は、悪臭防止法の遵守や近隣住民との信頼関係の維持に直結する重要な課題です。
本記事では、操業停止リスクを防ぎ、莫大なランニングコストを抑えるための効果的な脱臭方法や、実際に導入された事例を詳しく解説します。
| 設置場所 | 処理施設内の壁面 (出入口・中央付近) |
|---|---|
| 臭気対象 | 廃プラスチックや紙くずなどの 産業廃棄物から発生する腐敗臭 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
廃プラスチックや紙くずから発生する腐敗臭が充満し、現場作業員が臭気によるストレスを常に抱えていた産業廃棄物処理施設の事例です。
社長は「従業員の作業環境を改善したい」と強く願っていました。作業車両が行き交う現場のため、必要なのは床置きではなく壁掛けタイプの脱臭装置。
作業場を濡らさずに広範囲を脱臭できる性能が求められていました。
テスト設置を行った結果、気体発散で現場を濡らさない点や、確かな脱臭効果を作業員が実感できたことが決め手となり、日本デオドールの中和脱臭装置「DMDシリーズ」が採用されました。
施設内の悪臭は低減され、作業員からは「臭気が消え、香りも気に入った」との声が届いています。脱臭効果とコストパフォーマンスが評価され、他施設への横展開も実現しました。
| 設置場所 | 一般廃棄物焼却施設 (プラットホームおよびゴミピット) |
|---|---|
| 臭気対象 | 一般廃棄物の焼却処理に伴うゴミ臭 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭(噴霧式) |
減量化やリサイクルの過程を経て排出される一般廃棄物を焼却処理している施設の事例です。
廃棄物を投入・貯留するプラットホームやゴミピットは、施設の中でも特に高濃度の悪臭が発生しやすい場所。
外部への臭気漏洩対策はもちろん、現場作業員の負担を軽減するためにも、広大な空間全体をムラなくカバーできる脱臭装置が求められます。
悪臭対策の専門企業であるニオイックスの中和脱臭装置を導入しました。「夢・消太SH200」をノズルから広範囲に噴霧する方式です。
事前に効果を実感できる無料デモテストを実施しているため、導入のハードルが下がっていると考えられます。
微細なミストが空間全体に行き渡ることで、廃棄物特有の強い臭気を効率的に抑制する仕組みです。
| 設置場所 | 肥料置き場建屋(容積約5,000m3) |
|---|---|
| 臭気対象 | 汚泥乾燥肥料から発生する臭気と粉塵 |
| 脱臭方法 | オゾン脱臭 |
埼玉県で、生ゴミや汚泥などを肥料化している産業廃棄物処理工場の事例です。課題となっていたのは肥料置き場の粉塵と強い臭気。
廃棄物を扱う現場だからこそ、従業員のためにきちんとした労働衛生環境を整える必要があり、粉塵と臭気を同時に抑制できる対策が求められていました。
導入したのは、エコデザインのオゾン発生器を組み込んだ「オゾンミスト」システムです。
2流体ノズルからオゾン水を噴霧することで、粉塵の飛散を抑えつつ、臭気物質を瞬時に分解・消滅させることに成功しました。
現場作業員からも「臭気が減った」と効果を実感する声が上がっており、作業環境基準値以下の安全な濃度で運用できています。
多孔質の活性炭に臭気成分を物理的に吸着させる方法です。低濃度・乾燥状態の排気に適しており、最終的な仕上げ脱臭として多用されます。
導入コストが比較的低い反面、廃棄物処理特有の高湿度な排気下では寿命が著しく短くなるため、除湿などの前処理が必要です。
水や薬液(酸・アルカリ)をシャワー状に噴霧し、臭気を中和・洗浄して除去する方法です。大風量かつ高濃度のアンモニアや硫化水素が発生するプラントに適しています。
粉塵やミストも同時に除去できるため、過酷な現場環境でも安定した脱臭性能を発揮しますが、排水処理コストの検討が必要です。
微生物の代謝を利用して臭気成分を分解する方法です。硫黄系化合物(腐卵臭など)の処理に効果的で、低濃度から中濃度の臭気が一定して発生する現場に向いています。
メリットは、薬品を使用せずにランニングコストを抑えられること。デメリットは広めの設置スペースが必要となる点です。
臭気ガスを高温(約650~800℃)で加熱し、酸化分解して無臭化する方法です。他の方策では除去困難な強烈な複合臭に対しても効果を発揮します。
脱臭効率が高い一方で、燃料代などの維持費が膨大になるため、排熱回収システムを組み込んだ蓄熱燃焼式を採用するのが一般的です。
廃棄物処理施設の悩みを解決する脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。同じ廃棄物処理施設でも、処理する廃棄物の種類によって発生する臭気の種類は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
鼻を刺すようなツンとした刺激臭です。廃棄物処理施設では、有機物の初期分解過程や、し尿処理、汚泥乾燥工程などで大量に発生します。
水に溶けやすいため、水洗浄や酸性薬品による中和脱臭、または添着炭による吸着脱臭で対策するのが一般的です。
腐った卵のような強烈な臭気です。廃棄物ピットの底部やグリストラップなど、酸素が不足し嫌気化した場所で発生します。
毒性が高く、濃度によっては人体に危険を及ぼすほか、建屋の金属部を腐食させるため、バイオフィルター脱臭やアルカリ性薬液による洗浄(薬液スクラバー)が欠かせません。
人間の嗅覚が敏感に反応する腐った玉ねぎやキャベツのような臭気です。生ゴミの腐敗や野菜残渣の処理工程で発生し、低濃度でも広範囲に「ゴミ臭い」と認識させてしまいます。
近隣クレームを防ぐには、臭気成分を徹底的に分解するため、オゾン脱臭や燃焼式脱臭などを用いると良いでしょう。
汗や蒸れた靴下のような、酸っぱくて重い臭気です。酪酸やイソ吉草酸などが該当し、堆肥化施設や汚泥処理現場での発酵工程で発生します。
閾値(においを感じる最低濃度)が低く、建物の壁面などに吸着して残る「染み付き臭」の原因にもなるため、空間全体の脱臭対策が重要です。
住宅地に隣接して設置されることが多い浄化槽では、し尿の嫌気性分解に伴い、硫化水素を主成分とする強烈な腐卵臭が発生します。
わずかな漏洩でも致命的なクレームに繋がるため、臭気に気づいたら早めの対策が必要です。
小規模ながらも高濃度の臭気が安定して出るため、メンテナンス性の高い小型の活性炭脱臭装置やバイオフィルター脱臭装置を採用するケースが多い傾向にあります。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。