荏原実業は、水処理インフラや環境保全分野において強みを持つ企業であり、排水処理施設や下水処理場などで発生する悪臭に対して、独自の脱臭剤や生物脱臭技術を用いたソリューションを展開しています。
本記事では、装置の仕組みや製品ラインナップ、詳細なスペック、導入施設の傾向などを詳しくまとめました。
同社の脱臭装置の多くには、独自の腐植質脱臭剤「ボエフ」が採用されています。この脱臭剤は、物理的な吸着だけでなく、化学反応や生物反応を組み合わせた複合的なメカニズムで悪臭成分にアプローチします。
特に水分を多く含む多湿な臭気ガスに対しても性能が低下しにくく、長期間にわたって効果を持続しやすいのが特徴です。フィルターの頻繁な交換を抑えることで、長期的なランニングコストの低減に寄与するシステムを構築しています。
微生物の働きを利用した生物脱臭装置においては、特殊な繊維状活性炭を担体(微生物を定着させる素材)として用いています。これにより、微生物を高密度で固定し、悪臭成分との接触効率を大幅に高めることに成功しています。
特に硫化水素の処理において高い処理速度(空間速度400~600h-1)を実現しており、処理能力に対して装置をコンパクトに設計できるため、限られたスペースでの設置や設備費の軽減に貢献します。

浄化槽や小規模な排水処理施設、食品工場の厨房排水処理などで発生する悪臭に対して設計されたコンパクトな脱臭装置です。脱臭ファンを本体に内蔵しているため、設置スペースを小さく抑えることができます。
内部には腐植質脱臭剤「ボエフ」が充填されており、水気を含んだ過酷な臭気環境下でも優れた脱臭効果を発揮します。処理風量に合わせて2m3/minから15m3/minまで複数のラインナップが用意されています。
| 脱臭方法 | 腐植質脱臭剤「ボエフ」を用いた物理吸着・化学反応・生物反応 |
|---|---|
| 処理風量 | 2 m3/min ~ 20 m3/min |
| 外形寸法(脱臭塔) | W450 × D450 × H1500 mm(2 m3/minモデル)~ W1100 × D1100 × H2500 mm(20 m3/minモデル) |
| 運転質量 | 190kg(2 m3/minモデル)~ 1,180kg(20 m3/minモデル) |
| 主な用途 | 小規模排水処理施設、浄化槽、し尿処理場、食品工場、厨房排水処理施設など |
| 臭気対象 | 排水から発生する多湿な悪臭ガス全般 |

工場排水や農業集落排水処理施設などで問題となる硫化水素の除去を主目的として設計された湿式生物脱臭装置です。特殊な充填物を担体として用いることで、コンパクトな反応槽でも高い処理能力を維持します。
単体での使用だけでなく、前述の「ボエフミニ」と組み合わせて使用することで、さらに高度な除去率を達成し、安定した水処理・環境保全システムを構築することが可能です。
| 脱臭方法 | 繊維状活性炭担体を用いた湿式生物脱臭方式 |
|---|---|
| 処理風量 | 3 m3/min ~ 20 m3/min |
| 外形寸法(脱臭塔) | W600 × D600 × H2200 mm(3 m3/minモデル)~ W1500 × D1500 × H2600 mm(20 m3/minモデル) |
| 運転質量 | 450kg(3 m3/minモデル)~ 1,900kg(20 m3/minモデル) |
| 主な用途 | 農業集落排水処理施設、工場排水処理施設、小規模排水処理施設など |
| 臭気対象 | 硫化水素を主とする排水由来の悪臭成分 |
荏原実業の脱臭装置は、特定環境保全公共下水道処理場や、農業集落排水処理施設といった官公庁向けのインフラ設備で多数の採用実績を持っています。また、民間の食品工場における厨房排水処理や、産業廃棄物処理に伴う臭気対策など、水処理に関わる幅広い現場で稼働しています。
詳細な個別事例の記載は公式サイトにありませんが、「水と空気」の専門エンジニアリング企業として、長年にわたり地域の環境保全を支えている実績があります。
事例を踏まえた導入施設の傾向
荏原実業の製品ラインナップから読み取れる傾向として、浄化槽や排水処理ラインといった「常に高い湿度を伴う悪臭ガス」が発生する現場において強みを発揮します。多湿な環境下でも劣化しにくい腐植質脱臭剤や生物脱臭技術は、インフラ関連施設での安定稼働に直結しています。
一方で、有機溶剤を大量に扱う塗装工場や、非常に乾燥した高温排気を行う乾燥炉など、排水処理とは異なる性質のガスに対しては、活性炭吸着方式や燃焼式、触媒燃焼式など別のアプローチを得意とする専門メーカーの装置と比較検討を行うことが大切です。
においの原因や発生場所によって適した脱臭装置は異なります。当メディアでは、「食品工場」「化学・薬品工場」「畜産農業現場」など、においの発生場所ごとに適した装置を紹介しています。環境に合った装置選びの参考にしてください。
「なぜその装置が選ばれているのか」「自社に本当に合っているのか」を整理して検討したい方は脱臭装置の選び方(種類別の特徴)を、同じような環境での導入イメージを具体的に知りたい方は施設別の導入事例まとめもあわせてご一読ください。
小型脱臭装置「ボエフミニ」などに充填されている腐植質脱臭剤は、複数の脱臭メカニズムを併せ持つため、一般的な単一性能のフィルターに比べて長い寿命を誇ります。
日常のメンテナンスとしては、定期的なドレン排水(本体やファンに溜まった水の排出)や出口臭気の確認が推奨されていますが、頻繁な資材交換の手間がかからないため、現場の運用負担とランニングコストを低く抑えることが可能です。
東証プライム上場企業であり、全国規模で強固なエンジニアリング事業・メーカー事業を展開しています。
北海道から九州まで主要都市に支社・支店を構えており、製品の導入検討から設置施工、稼働後の技術サポートまで、地域に密着した迅速なフォロー体制が整っています。官公庁などの厳格な仕様が求められる現場でも、豊富な知見を持つ専門スタッフが適切なプランニングを行います。
| 会社名 | 荏原実業株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区銀座7丁目14番1号 |
| 電話番号 | 03-5565-2881(代表) |
| 公式HP | https://www.ejk.co.jp/ |
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
対応できる臭い
調理油/魚類/肉類/揚げ物/煮炊き排気/生ゴミ/カビ/硫化水素/スチレン/硫化メチル
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
対応できる臭い
香料/樹脂/フェノール/キシレン/酢酸ブチル/コーティング機排気/酢酸エチル/シアン化水素/アンモニア/1,2,4-トリメチルベンゼン
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
対応できる臭い
高濃度アンモニア/硫化水素/硫黄系臭気
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。