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脱臭装置の圧力損失計算とは?

既存の生産ラインや局所排気系統に、脱臭装置を後付けで組み込みたいというケースは少なくありません。

しかし、ダクトの途中に脱臭装置やフィルターを挿入すると、ろ材や内部流路が抵抗となって「圧力損失」が発生し、排風機の能力が不足すると風量が確保できなくなるリスクがあります。
本記事では、ダクト系全体の圧力損失を計算し、必要な送風機の静圧を導き出す考え方を解説します。

なぜ圧力損失の計算が必要なのか

排気風量の計算方法を解説した記事では、行政への設置届出において「風量計算書」に加えて「圧力損失計算書」の添付が求められる場合があることに触れました。

風量計算は「どれだけの空気を排出する必要があるか」を求めるステップですが、その風量を実際にダクトへ通す際には、ダクト内壁との摩擦やエルボ・脱臭装置本体などの抵抗によって圧力が失われます。この失われる圧力(圧力損失)を見積もり、それに見合った静圧を持つ送風機を選定するのが、風量計算の次に必要な設計ステップです。

圧力損失の基本的な考え方

ダクト系全体の圧力損失は、大きく3つの要素を積み上げて算出します。

直管部の摩擦損失

ダクトの内壁を空気が流れる際に生じる摩擦による圧力損失です。流体力学の基本式(ダルシー・ワイスバッハの式)で表され、以下の考え方で算出します。

【直管の圧力損失】
P(Pa)= λ × (L/D) × (ρv²/2)

ここで、λは摩擦係数、Lはダクトの直管長(m)、Dはダクトの内径(m)、ρは空気密度(kg/m³)、vはダクト内の風速(m/s)を表します。
ダクトが長くなるほど、また内径が小さく風速が速いほど、摩擦損失は大きくなります。

局所抵抗(エルボ・ダンパー・分岐)

ダクトの曲がり(エルボ)、風量調整用のダンパー、分岐・合流部などでは、気流の乱れによって追加の圧力損失(局所損失)が発生します。
局所損失は「局所抵抗係数×動圧」で計算され、曲がりの数やダンパーの開度が多いほど、系統全体の圧力損失を押し上げる要因になります。設計段階では、できるだけ曲がりの数を減らし、緩やかな角度で接続することが圧力損失を抑えるポイントです。

脱臭装置本体・前処理フィルターの圧力損失

脱臭装置本体やその前段に設置する前処理フィルターも、通風抵抗としてダクト系に加算されます。
方式によって圧力損失の特性は大きく異なり、薄型のハニカム形状吸着方式は通気抵抗が小さい一方、粒状の充填塔方式や前処理フィルターの多段構成は高い抵抗が発生しやすい傾向があります。採用する脱臭方式や前処理構成のカタログ値(初期圧力損失、使用後の想定圧力損失)を必ず確認し、計算に組み込む必要があります。

ダクト設計における注意点
(アスペクト比)

角形ダクトを設計する際は、断面の長辺と短辺の比率である「アスペクト比」にも注意が必要です。
正方形に近い断面(アスペクト比が1に近い)ほど通風抵抗は小さくなりますが、天井裏の高さ制限など納まりの都合から、扁平な断面が選ばれることもあります。一般的にアスペクト比は1.5〜2程度に設定されることが多く、上限の目安として4程度とされています。アスペクト比が大きくなりすぎると、板厚の増加による重量増や、通風抵抗の急増を招くため注意が必要です。

圧力損失から
送風機の静圧を決める

直管の摩擦損失、局所抵抗、脱臭装置・前処理フィルターの圧力損失をすべて積算すると、ダクト系全体で必要な静圧が求まります。

実務では、算出した圧力損失の合計値に対して、風速のムラやフィルターの経時劣化による抵抗増加を見込み、10〜20%程度のマージンを上乗せすることが一般的です。このマージンを加味した必要静圧を満たす送風機(ファン)を選定することで、運用開始後の風量不足を防ぐことができます。

なお、既存のダクトに脱臭装置を後付けする場合は、既設の排風機がこの必要静圧を満たせるかどうかを必ず確認する必要があります。静圧が不足する場合は、補助ファンの追加や排風機自体の交換を検討することになります。

まとめ:
圧力損失計算は
風量計算とセットで検討する

脱臭装置をダクト系に組み込む設計では、風量計算で「どれだけの空気を流すか」を決めた後、圧力損失計算で「その空気を流すためにどれだけの静圧が必要か」を明らかにすることが欠かせません。

直管の摩擦損失、局所抵抗、脱臭装置本体の抵抗を積み上げて必要静圧を導き出し、適切なマージンを加えたうえで送風機を選定することが、風量不足や臭気の逆流といったトラブルを防ぐ確実な設計につながります。

当メディアでは、脱臭装置に関する基礎知識を他にも多数掲載しています。メーカー選びの判断材料として、ぜひ参考にしてください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

対応できる臭い

調理油/魚類/肉類/揚げ物/煮炊き排気/生ゴミ/カビ/硫化水素/スチレン/硫化メチル

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

対応できる臭い

香料/樹脂/フェノール/キシレン/酢酸ブチル/コーティング機排気/酢酸エチル/シアン化水素/アンモニア/1,2,4-トリメチルベンゼン

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

対応できる臭い

高濃度アンモニア/硫化水素/硫黄系臭気

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選