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脱臭装置の排気風量計算

脱臭装置の導入を成功させるには、現場の臭気風量に合わせた「正しい排気風量の計算」が不可欠です。

風量設計を誤ると、においが漏洩して周辺環境に悪影響を及ぼすほか、不必要なコスト肥大化を招く原因になります。
本記事では、実務で使える排気風量の計算公式や、風量規模に応じた脱臭方式の選定基準について解説します。

計算された「排気風量」の規模から選ぶ脱臭方式

脱臭装置は、算出された「設計風量」の規模(風量の大きさ)によって、採用すべき方式の境界線が明確に分かれます。
まずは自社の風量規模と、適応する代表的な方式の全体像をご確認ください。

想定される風量規模 推奨される主な脱臭方式 選定時のエンジニアリング視点
大風量
(100 m3/min以上)
蓄熱式燃焼、湿式薬液スクラバー、大型生物脱臭 大容量のガスを連続処理できるプラント規模の装置。活性炭吸着は交換コストが膨大になるため非推奨
中風量
(10〜100 m3/min)
ゼオライト濃縮ローター+小型燃焼式、複数段吸着式 濃縮技術などを組み合わせることで、大掛かりな燃焼プラントを導入するよりも設備投資を最適化しやすい。
小風量・局所排気
(10 m3/min以下)
中和消臭方式、オゾン供給式、乾式活性炭ユニット コンパクトで圧力損失が低い方式が極めて合理的。スクラバーなどは圧損が大きく小型ファンでは引けないため不適

脱臭装置の選定に必要な
排気風量の計算公式

現場の状況に合わせて排気風量を算出する、実務的な2つの設計アプローチを解説します。自社の発生源の環境がどちらに該当するかご確認ください。

1. 部屋全体を換気する場合(全体換気計算)

臭気の発生源が特定できないケースや、部屋全体に拡散したこもり臭を薄めて外へ排出する際の計算方法です。
対象空間の容積(広さ)に、業種や臭気レベルに応じた「必要換気回数」を掛け合わせて算出します。

【全体換気の計算公式(時速基準)】
必要排気風量(m3/h)= 対象空間の容積 V(m3) × 必要換気回数 N(回/h)
※容積 V = 床面積(m2) × 天井高(m)

■ 実務で使われる換気回数(N)の基準値目安
・軽作業・一般的な組み立て工場:3 〜 5 回/h
・熱源や軽微なにおいが発生する工場:6 〜 12 回/h
・有機溶剤取扱・高濃度な臭気がこもる現場:15 〜 30 回/h以上

全体換気は計算がシンプルである一方、部屋全体の大量の空気を丸ごと脱臭装置に通す必要があります。
そのため、下流の脱臭装置が大型化し、イニシャル・ランニングコストが共に膨張しやすい点に注意が必要です。

2. 発生源でピンポイント捕集する場合(局所排気計算)

現代の環境対策において、省エネ・コスト削減の観点から最も強く推奨されるのが、発生源の直上でニオイを吸い込む「局所排気」です。
設置する排気フードの形状によって計算式が異なります。

① 囲い式フード(発生源をブースやカバーで囲う型)
必要排気風量(m3/min)= 60 × フードの開口面積(m2) × 制御風速(m/s) × 安全率(k)
※制御風速は法律(有機則等)で最低0.4 m/sなどと義務付けられている場合があります。安全率(k)は風速のムラを補正するため実務的に1.2〜1.5を設定します。

② 外付け式フード(発生源の近くから側方吸引する型)
必要排気風量(m3/min)= 60 × 制御風速(m/s) × {10 × 距離Xの2乗(m2) + フードの開口面積(m2)}
※距離X = フードの開口面から臭気発生源までの最も離れた距離

外付け式において極めて重要なのが「距離の2乗に比例して必要風量が跳ね上がる」という物理原則です。
発生源からフードがわずか50cm離れるだけで、必要な風量は数倍に増加します。
いかにフードを発生源に接近させ、風量を絞り込むかが、設備投資と毎月の電気代を削る最大の鍵となります。

排気風量の設計時に
知っておくべき注意点

正しい数式で風量を計算しても、設備全体のバランスや法的義務を見落とすと、導入後に重大なトラブルに発展するリスクがあります。

1. 行政への事前届出と年次検査の義務

特定の有害物質や有機溶剤を発散する現場に局所排気装置や脱臭装置を設置・リプレイスする場合、工事開始の30日前までに管轄の労働基準監督署長へ計画書を提出する義務があります。
この届出には、本記事で解説した風量計算書や圧力損失計算書の添付が求められます。

また、設置後は年に1回以上の定期自主検査(性能点検)を実施し、記録を3年間保存することも法律で義務付けられているため、運用体制の確認も忘れてはいけません。

2. 給排気バランスの欠如による「室内陰圧化」の罠

局所排気によって大量の空気を外へ放出する際、外部から室内に取り込む「給気量」が不足していると、室内が強力な負圧(陰圧)状態になります。
室内の陰圧化は、「工場の扉やシャッターが重くて開かなくなる」「隙間風による虫や異物の混入」「ファンの能力低下による脱臭効率の悪化」といった深刻な二次障害を引き起こします。

設計時は、排気風量に対しておよそ90〜95%の給気量を確保できるよう、給気ファンやガラリを同時に設計することが不可欠です。

風量規模に適した脱臭装置を見つけるには

数式と現場環境から適切な風量・給排気バランスを算出した後は、その風量を「維持管理の手間」や「予算」の制限内で安全に処理できるメーカー選定に移ります。

例えば、計算した結果が「少風量の局所排気」であれば、大掛かりな配管工事や水質管理が不要な中和消臭方式やインライン型の小型オゾン脱臭機などが、設置スペースも含めてベストな選択肢になり得ます。
逆に「大風量」であれば、多少初期費用がかかっても維持費の観点から蓄熱燃焼式やバイオフィルターが合理的なポジションを占めることになります。

コストの先読みを怠り、風量相性を無視した装置を導入してしまうと、早期の性能破過や買い替えリスクを招くため、各方式の得意・不得意を見極めることが最優先です。

まとめ:過大・過小な風量設計を防ぐために

脱臭装置の設計において、排気風量の計算はすべての基盤となります。
人手不足による現場のメンテ省力化や、省エネ・脱炭素への要求が強まる現代において、「過大すぎず、過小でもない最適風量」を見極めることが、企業の環境対策と財務健全性を両立させるポイントです。

当メディアでは、各脱臭方式の特徴や設置場所ごとの導入事例も詳しく紹介しています。メーカーへ問い合わせる前の判断材料として、ぜひお役立てください。

【導入場所・におい別】
脱臭装置おすすめ3

導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

調理・加工臭に悩む
食品工場なら
調理臭・油煙臭を
無臭物質へ変化させる
VFDシリーズ (日本デオドール)
日本デオドール公式HP
画像引用元:日本デオドール公式HP
(https://deodor.co.jp/vfd-ntm.htm)

設置場所

排気ダクト

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
605×400×
1000~820×
570×1400(mm)
重量(kg)35~92

消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。

15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

溶剤臭・VOC対策に悩む
化学・薬品工場なら
揮発性・触媒毒を含む排ガスの
臭気漏れを防ぐ
触媒式脱臭装置 (TESSHA)
TESSHA公式HP
画像引用元:TESSHA公式HP
(http://www.tessha.com/equipment/catalyst/cu-7eh/)

設置場所

乾燥炉排気・反応槽ベントライン など

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
-
重量(kg)-

VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える

装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える

堆肥舎・発酵施設のアンモニア臭に悩む
畜産農業なら
高濃度アンモニアを
低エネルギーで処理できる
ミライエ生物脱臭装置 (ミライエ)
ミライエ公式HP
画像引用元:ミライエ公式HP
(https://miraie-corp.com/product/deodorizer/)

設置場所

屋外または既存脱臭槽内

寸法
(mm/幅・奥行・高さ)
6~12×9
(54~108㎡)
重量(kg)-

堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。

微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える

【導入場所・におい別】

脱臭装置おすすめ3選