食品工場における臭気対策は、近隣住民との良好な関係維持や、製品の品質管理を徹底する上で重要な事項となります。
本記事では、工場長や生産管理担当者の方に向けて、現場の課題に即した脱臭方法や、発生成分ごとの特徴について詳しく解説していきます。工場の安定稼働と環境負荷低減の両立に、ぜひお役立てください。
| 設置場所 | 食品工場 (排気ダクト5系統へ配管設置) |
|---|---|
| 臭気対象 | コンビニ弁当製造時の調理臭 (油、調味料、ニンニク臭) |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
コンビニ弁当を製造する食品工場の導入事例です。弁当の品目によって稼働するラインが日ごとに変動し、排気ダクトは計5系統に分かれていました。しかし、すべてのダクトに個別の装置を常設するには多額の費用を要します。
油やニンニクといった強度の高い調理臭への対策は避けられないため、複数の排気系統を少ない台数でカバーできる、柔軟な運用システムが検討されました。
日本デオドールの中和脱臭装置「DMDシリーズ」を2台導入しました。全ダクトに消臭剤の注入用ホースのみを先行配管し、稼働中のラインへ小型の本体を移動させて接続する運用を確立しています。
装置台数を絞ることで導入コストを抑制しながら、排気臭の低減に繋げることとなりました。この効率的な運用が評価され、1年後の新工場建設時にも同システムがリピート採用されています。
| 設置場所 | 排気ダクト(屋外・2系統へ集約) |
|---|---|
| 臭気対象 | 食品工場から発生する 調理臭・焼き焦げ臭 |
| 脱臭方法 | セラミックフィルター脱臭 (ゼオガイア) |
東北地方に新設された食品工場の事例です。稼働直後、隣接する近隣施設より臭気に関する指摘が寄せられました。
当初は分析測定に基づく現状把握や水フィルターの設置などの対策を講じましたが、十分な改善には至りませんでした。度重なる対策ののち、より確実性の高い脱臭システムの構築が急務となっていたのです。
カルモアによる嗅覚測定と臭気拡散シミュレーションの結果に基づき、脱臭装置「ゼオガイア」のフィルターを14層に強化した特別仕様を採用しました。将来的に、より強い臭気が発生する食品を製造する可能性も考慮し、最大16層まで拡張できる設計を施しています。
導入後は、最大濃度50,000に達する原臭を、半年間にわたり継続して90%以上除去する実績を維持。科学的な根拠に基づいた設計により、周辺環境との共生を可能にしました。

| 設置場所 | 調味スープ製造工場 (ラーメンなどスープ煮釜) |
|---|---|
| 臭気対象 | 調味料臭、ニンニク臭、ショウガ臭 |
| 脱臭方法 | 活性炭吸着脱臭(物理吸着用吸着剤) |
ラーメンなどのスープを製造する工程では、ニンニクやショウガといった香りの強い食材を長時間煮込むため、高濃度の臭気が発生します。
本事例の工場では、原臭の臭気濃度が50,000(臭気指数47)という極めて高い数値に達しており、周辺環境への影響を考慮した実効性の高い排気脱臭対策が検討されました。
物理吸着用の吸着剤(活性炭)を用いた脱臭装置を導入した結果、装置入口で濃度50,000だった臭気は、出口において濃度160(臭気指数22)まで低下。除去率99.6%という測定結果を得るに至りました。
これにより、単一の対策では処理が難しいとされる複合的な調味料や香辛料の臭気を大幅に低減し、適切な排気管理を継続しています。
特定の臭気成分と反応する薬品を活性炭に染み込ませることで、特定の分子を効率よく吸着できるよう加工した吸着剤です。アンモニア(腐敗臭)には酸性、硫化水素(排水臭)にはアルカリ性など、臭気の性質に合わせた選定が求められます。
建屋と塀の間といった限られたスペースへの設置に適しており、既存の排気口付近へ柔軟に導入できる点が運用の利点といえるでしょう。
煮炊きやレトルト殺菌など、高温多湿な排気が発生する工程に適した選択肢です。湿気による影響を受けやすいフィルター方式とは異なり、薬液のシャワーで臭気成分とともに蒸気を洗い落とす仕組みを持っています。
調味料や酢などの水溶性の臭気に対して強みを発揮するほか、排気中の粉塵を捕捉してダクト内の衛生維持に寄与する側面も備えています。具体的な維持管理の方法などは、詳細記事にて紹介しています。
製造ラインではなく、工場敷地内の排水処理施設や残渣保管庫から発生する硫黄系の不快臭(硫化水素など)への対応に即した方法です。
微生物による分解プロセスを利用するため、急激な濃度変化が少ない、24時間稼働する環境下での運用に向いています。一定の設置スペースを要しますが、薬品消費を抑えられるため、長期的なランニングコストの低減を助けます。
フライヤーや焼き工程を伴う排気では、脱臭装置への直接導入を避けるのが通例です。排気に含まれる多量のオイルミストが装置内部に付着・固着することで、短期間での目詰まりや脱臭能力の減退、ひいては装置本体の故障を招くリスクが生じます。
また、ダクト火災に発展する危険性も否定できないため、デミスターやセラミックフィルターによる油分の物理的捕集が推奨されます。あらかじめ油分を低減させ、負荷を抑えた状態で脱臭装置へ通すことが、安全かつ長期にわたる安定運用の鍵となるでしょう。
食品工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。食品工場内で加工している食材や製造工程によって、発生する臭気は変わってきます。
ただし、目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所に合った脱臭装置を選ぶのがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。食品工場におすすめの脱臭装置も調査していますので、現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
鼻にツンとくる刺激臭が特徴です。主に食肉や水産物、乳製品などの製造・加工ラインにおいて、原料に含まれるタンパク質が細菌などにより分解される過程で発生します。
製造工程以外でも、冷凍機の冷媒漏れや排水処理設備の負荷増大が原因となるケースも少なくありません。脱臭装置の導入と並行して、設備の定期点検や排水処理プロセスの見直しといった多角的な対策が求められます。
不快感の強い腐卵臭や、玉ねぎの腐敗臭に分類されます。主な発生源は、排水処理場の汚泥貯留槽やグリストラップ、野菜くずの集積ピットなどです。
特にタマネギやキャベツなど含硫アミノ酸が多い野菜の腐敗、あるいは排水配管内の滞留部などで有機物が分解される際に濃度が急増。においを感じる閾値が極めて低いため、わずかな漏洩でも広範囲に影響を及ぼしやすく、厳格な管理体制が必要となります。
油を高温で加熱する調理工程から生じる、焦げたようなにおいや刺激臭の主成分です。食用油が熱酸化して生成されるアクロレインなどの成分は、油煙とともにダクトを通じて拡散しやすい性質を持っています。
近隣住民から油のにおいや目への刺激といった指摘を受ける要因となりやすく、連続式フライヤーや大型オーブンを運用する惣菜・製菓工場において、重点的な対策対象となる成分です。
水産加工場や鮮魚コーナーのバックヤードで発生する、生臭さの原因物質です。魚介類の鮮度が変化する過程で生成され、低濃度でも不快感を与えやすい性質があります。
アルカリ性の性質を持つため、酸性の薬液を用いたスクラバー脱臭や、特定の成分に対応した添着炭による吸着脱臭が適合します。
蒸れたような酸っぱい臭気などが該当し、具体的には酪酸やイソ吉草酸が挙げられます。乳製品加工、食肉の発酵・熟成、漬物製造などを行う工場で発生しやすい成分です。酸性の物質であるため、アルカリ剤による中和やオゾンによる酸化分解などの手法を用いることで、効率的な低減を図れます。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~92 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。