土の中の微生物によって臭気成分を分解させる生物脱臭法の一種でもある土壌脱臭法は、低・中濃度の臭気に適しています。土壌脱臭法の特徴やメリット・デメリットについてまとめています。
土壌脱臭法は、臭気を土壌の中に通気させ、吸着・吸収された臭気成分を、微生物によって分解させる方法です。悪臭を含んだ空気が土壌の中を通過する際、土壌粒子間や粒子表面に吸着されたり、土壌水分中に溶け込んだり、土壌微生物によって酸化分解されたり、土壌成分と化学反応して中和したり、というような複合的な作用や効果を利用して、悪臭成分を分解・除去していきます。生物脱臭法の一種でもあり、低・中濃度の臭気に適しています。
土壌微生物が多様に存在し、力強い能力を持つという点から見て、土壌脱臭法で脱臭できる臭気成分は広範囲におよぶと考えられています。とくに、畜産関係の分野では、過去にも多くの実施例が見られ、アンモニアを代表とする窒素化合物には大きな成果が上がっていますし、硫化水素やフェノール系の臭気にも効果例が見られています。
土壌脱臭に用いられる土は、通気性が確保できる品質を持つ特殊な土壌です。普通の土だと、使用していくうちに固まってしまい、通気性がなくなり、臭気ガスが通らなくなってしまいます。
土壌脱臭装置において、臭気成分であるアンモニアや硫化水素を分解するのは、自然界にごく普通に存在している、アンモニア酸化細菌や硫黄酸化細菌です。アンモニア酸化細菌は、アンモニアを酸化して窒素酸化物を生成し、硫黄酸化細菌は硫化水素やメチルメルカプタンを硫酸や炭酸ガスにする働きがあります。これらの細菌が酸化物を生成していくと、土壌のpHは酸性に傾いてしまい、土に住んでいる微生物の種類が変わって脱臭性能に影響をおよぼすのではないか、と考えられますが、土に蓄積された酸化物は雨が洗い流してくれるので、その心配はありません。