本記事では、多岐にわたる製造・加工現場における脱臭装置の導入事例、および実効性の高い脱臭手法、各工程で発生する臭気特性について解説しています。
産業分野ごとに異なる特有の課題を整理し、自社の環境改善に即した装置選定の一助としてお役立てください。
| 設置場所 | 食品工場 (排気ダクト5系統へ配管設置) |
|---|---|
| 臭気対象 | コンビニ弁当製造時の調理臭 (油、調味料、ニンニク臭) |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
コンビニ弁当を製造する食品工場の事例です。弁当の献立によって稼働する製造ラインが日ごとに変動するため、排気ダクトは計5系統に分散する形となっていました。
しかし、すべてのダクトへ個別に固定式装置を導入する手法を選択した場合、初期投資が大幅に膨らんでしまう点が懸念材料となっていたのです。
油やニンニクなどの広範囲に広がりやすい調理臭が発生するため、周辺環境への配慮は不可欠。そこで、複数ラインの排気を最小限の台数でカバーできる柔軟なシステム構築が求められていたのです。
日本デオドールの中和脱臭装置「DMDシリーズ」2台を導入しました。全ダクトに薬剤注入用のホースのみをあらかじめ配管し、稼働しているラインに合わせて小型の装置本体を移動・接続する運用を採用しています。
設置台数を絞ることで投資コストを抑えつつ、適切な臭気対策を運用する体制を整えました。この合理的な手法が評価され、1年後の新工場建設時にも同様のシステムがリピート採用されています。

| 設置場所 | ビール工場 |
|---|---|
| 臭気対象 | ビール製造時に発生するアルデヒド臭 |
| 脱臭方法 | 触媒燃焼式脱臭(CU-7EH) |
ビール工場における排気臭対策の事例です。製造工程からは特有のアルデヒド臭が発生しており、原臭の臭気濃度は25,000という非常に高い数値を記録していました。
そのまま大気中へ放出することは周辺環境への配慮から困難であり、高濃度臭気を効率的に処理可能な実効性の高い脱臭システムの構築が急務となっていたのです。
エスポ化学の触媒燃焼式脱臭装置「CU-7EH」を導入しました。触媒を用いて臭気成分を酸化分解する手法により、濃度25,000であった排気は出口側で25まで低下しています。
低減率99.9%という高度な処理能力により、ビール製造特有のアルデヒド臭を抑制。基準値を十分に下回る、安定した稼働実績を得るに至りました。
| 設置場所 | 菓子工場内の排水処理設備 |
|---|---|
| 臭気対象 | 排水処理設備の排気臭 (硫化水素、メチルメルカプタンなど) |
| 脱臭方法 | 触媒燃焼式脱臭(ETO脱臭装置) |
中部地区にある製菓工場の事例です。工場併設の直販店を利用するお客様からの指摘を受け臭気調査を実施したところ、店舗から数十メートルの距離にある排水処理設備が発生源であると判明しました。
硫化水素やメチルメルカプタンを含む不快度の高い臭気が滞留しており、直販店への営業影響を最小限に抑えるため、周辺への拡散を高度に抑制できる抜本的な対策が求められていました。
安定的な稼働実績を有する燃焼式脱臭の手法から、カルモアの「高温酸化触媒式 ETO脱臭装置」を導入しました。実機でのテストにより実効性が確認されたことが、迅速な採用の決め手となっています。
導入前は臭気濃度130,000という極めて高い数値でしたが、導入後は100まで低下。99.9%の低減率を達成しました。これにより、店舗周辺での指摘は解消され、製菓工場本来の香りを損なわない環境を維持しています。
| 設置場所 | 排気ダクトの側面(直付け) |
|---|---|
| 臭気対象 | 食肉を加工し 餃子の餡を作る工程で発生するにおい |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
1日あたり数十万個の餃子を製造する大規模工場の事例です。当初、臭気対策として排気ダクトを屋上まで延長する措置を講じましたが、ニンニクや調味料が混ざり合った独特の臭気への対応に苦慮し、追加の脱臭手法を検討することとなりました。
また、工場内に大型の装置を追設するスペースが確保できなかったため、省スペース設計かつ既存の排気システムへの負荷が少ない装置の選定も課題でした。
日本デオドールの小型中和脱臭装置をテスト導入しました。実際の現場で低減状況を確認したうえで、正式な採用に至っています。
排気ファンの吸引力を活用して植物精油を混合・発散させる仕組みにより、原料由来の生臭さを抑え、周辺の臭気環境を改善。限られたスペースにおいて、追加の動力源を必要とせず圧力損失も低い状態での運用が実現した点も評価されています。

| 設置場所 | 加工食品製造工場 |
|---|---|
| 臭気対象 | 肉を焼く工程で発生する臭気 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭 |
工業地域に位置する加工食品製造工場の事例です。調理工程で肉を焼成する際に発生する強度の高い臭気が周辺へ拡散し、近隣住民からの指摘が寄せられていました。
周辺環境への配慮から早期の改善が求められていましたが、大規模な設備改修は難しく、コストを抑えて導入でき、なおかつ工場の稼働を継続したまま設置可能な柔軟な対策が検討されたのです。
コンソルコーポレーションの中和脱臭装置を採用しました。選定の決め手となったのは、既存ダクトに設置する設計により、複雑な電源・給排水工事を伴わずに導入できる施工の容易さとコストパフォーマンスの高さです。
植物由来の消臭成分を排気ダクト内へ放出・混合させることで、肉の焼成に伴う臭気成分を中和。迅速な低減効果を発揮し、周辺環境との共生を図る体制が整えられました。

| 設置場所 | 水産飼料工場(生産設備) |
|---|---|
| 臭気対象 | 水産飼料製造時に発生するアミン臭 |
| 脱臭方法 | 添着炭 (アルカリ性臭気用吸着剤) |
水産飼料を製造する工場における排気脱臭の事例です。魚粉などの原料を加工する生産設備からは、特有の生臭さを伴うアミン臭(臭気濃度5,000)が発生していました。
周辺環境への配慮を重視し、特定の臭気成分を効率よく低減できる脱臭システムの構築が求められていたのです。
エスポ化学の「ケミカルフィルタ脱臭装置」を導入しました。対象となるアミン臭に対して高い吸着性能を有するアルカリ性臭気用吸着剤を選定し、最適化を図っています。
導入後は、濃度5,000であった臭気が濃度79(臭気指数19)まで低下。低減率98.4%という実績値を記録し、水産飼料工場特有の臭気課題に対応する体制を整えました。
| 設置場所 | 有機質肥料製造工場 |
|---|---|
| 臭気対象 | 魚肉エキスを固めた 肥料製造時の排気臭 |
| 脱臭方法 | 中和脱臭(噴霧式) |
魚肉エキスを原料とする有機質肥料製造工場の事例です。肥料製造において周辺環境への配慮は重要な課題であり、これまでにも複数の脱臭方式が検討されてきました。
現場担当者が脱臭に関する知見を有していたこともあり、要求される低減性能に加え、導入費用や長期的な運用コストの面でもバランスの取れたシステムが求められていたのです。
デモテストにより臭気の変化を確認できたこと、および導入・運用コストを抑制できる点が決め手となり、ニオイックスの脱臭剤「夢・消太SH200」を組み込んだ噴霧式脱臭装置を導入しました。
日常的なメンテナンス工数が少なく操作も容易なため、現場の作業負担を増大させない実用性が高く評価されています。現在は、コストパフォーマンスと環境対策を両立した安定稼働を継続中です。
有機溶剤やVOC(揮発性有機化合物)など、多種多様な成分が混在する排気への対応に適しています。活性炭が持つ微細な細孔で幅広い種類の臭気分子を物理的に吸着するため、成分が特定しづらい条件下でも低減効果を見込めます。
吸着容量に上限があるため、低濃度から中濃度の臭気対策を検討している中小規模の現場で採用される傾向にあります。吸着のメカニズムや寿命については、詳細記事にて解説しています。
酸性・アルカリ性のガスや、粉塵・高温の排気が発生する現場の処理に適した脱臭方法です。水や薬液を噴霧し、臭気成分と同時に粉塵やミストを洗浄・捕捉できる点が特徴といえます。
特に食品工場の水溶性臭気や、化学工場の酸性・アルカリ性ガスに対して安定した処理能力を発揮。スクラバー脱臭装置の導入における考慮事項や、維持管理の詳細については次の記事をご覧ください。
塗装や印刷、乾燥工程など、高濃度の可燃性ガスやVOCが大量に発生する現場の対策に即した手法です。臭気成分を熱によって酸化分解するため脱臭効率が高く、周辺への臭気漏洩を抑制したい場合に選定されます。
当メディアの記事では、ランニングコストの目安や熱回収の仕組みなどを解説しているので、装置選定の参考にしてください。
調理に伴う有機物の臭気(焦げ臭や油煙など)の分解に適しており、ダクト内の油分付着を抑制する側面も持つため、食品工場や給食センターの環境改善に活用されています。
オゾンガスを排気ダクト内へ充満させ、接触時間を設けることで臭気や汚れの要因を酸化分解します。濃度管理や安全対策の仕組みについては、詳細記事をご確認ください。
薬品やガスを使用せず、フィルター交換等の管理工数を抑えた運用が可能なため、低濃度の臭気を継続的に対策したい現場に適した方法です。触媒フィルターに紫外線(UV)を照射し、表面で発生する活性酸素の働きによって、通過する臭気成分を化学反応で分解する仕組みとなっています。
安全性を考慮する食品加工や有人エリアの臭気対策を検討している担当者に向けて、導入に適した施設・製品一覧を紹介しています。
製造・加工工場の悩みを解決する
脱臭装置の選び方
重要なのは臭気に合った脱臭装置を選ぶことです。工場で製造・加工している製品や工程によって、発生する臭気は変わってきます。
目に見えない臭気成分を正確に特定するのは難しいため、臭気の発生場所から脱臭装置を選ぶことがおすすめです。
当メディアでは、臭気成分がよく分からないという方でも選びやすいよう、導入場所別におすすめの脱臭装置を厳選しました。現場に合った製品選びの材料としてご活用ください。
鼻を突くような刺激臭が特徴です。食品加工におけるタンパク質の分解過程や、畜産関連の施設、化学肥料の製造工程などで発生します。
水に溶けやすい性質を持つため、水や薬液で洗浄を行うスクラバー脱臭、あるいは酸性剤を用いた中和脱臭の手法が広く採用されています。
腐卵臭や下水のような不快臭を放つ成分です。パルプ製造や排水処理施設、食品加工の排水ピットなどで発生しやすく、高濃度下では健康や設備への影響が懸念されます。
腐食性を有するため、装置材質の選定も含めた検討が重要です。酸性を示すガスであるため、アルカリ性の洗浄液を用いた中和脱臭などの手法が適しています。
酸っぱい刺激臭や、独特のムレ臭が特徴です(プロピオン酸、酪酸など)。食品の発酵工程や乳製品の加工、油脂の劣化、調理排気などで発生します。
対策としては、アルカリ薬剤による中和脱臭や、活性炭による吸着脱臭を行うのが一般的。においを感知できる濃度(閾値)が低く、微量でも周辺環境への配慮が必要となるため、適切な抑制策が求められます。
食品の焼成・焙煎工程で生じる香ばしい臭気や、塗装・印刷工程での溶剤臭(VOC)、機械油のオイルミスト臭などが該当します。工場内では許容される臭気であっても、外部へ放出されることで周辺住民の不快感を招く一因となり得ます。
臭気対策に加え、排出規制への対応も考慮し、燃焼式脱臭や活性炭吸着脱臭による低減策が検討されるケースが多く見られます。
原材料の煮炊きや発酵、焼成など、多様な工程から複合的な臭気が発生する食品工場。調理臭自体は生活に馴染みがあるものですが、工場規模の排気は風量や継続時間の面から、周辺への配慮が必要となる場合があります。
臭気成分が複雑に混在しているケースが多く、複数の脱臭手法を組み合わせるなどの柔軟な対応が検討されます。次の記事では、脱臭装置を導入した食品工場の事例を掲載しています。
清涼飲料水や酒類の製造工程では、原料処理や発酵プロセスに加え、排水処理設備からの排気が課題となる傾向があります。特に排水処理においては、汚泥から発生する硫黄系ガスやアンモニアへの対策が重要です。
生産品目によって臭気の質が異なるため、工程ごとの局所排気と全体換気のバランスを考慮した設計が求められます。脱臭装置を導入した飲料工場の事例については、次の記事をご覧ください。
製菓工場から漂う甘い香りや香ばしい香りは、一般的には好ましく感じられますが、近隣環境においては長時間の滞留が指摘(香害)につながる可能性があります。
砂糖や油脂の加熱によって生じるアルデヒド類や香料成分の低減はもちろん、粉塵を含む排気への対策も併せて検討が必要です。詳細記事では、製菓工場に適した脱臭手法と導入事例をまとめています。
揚げ物や焼き物などの加熱調理に伴い、油煙(オイルミスト)と調理臭が同時に発生します。油分を含んだ排気はダクトや脱臭装置の捕捉部を閉塞させる要因となるため、メンテナンス性を考慮した装置選定が重要です。
油脂を含む排水や、調理残渣の腐敗臭への対策も検討対象となります。次の記事には、脱臭装置の導入によって臭気環境の改善を図った惣菜工場の事例を掲載しています。
食肉加工や食鳥処理の現場では、生肉特有の臭気や内臓処理に伴う強度の高い不快臭などが発生します。これらはアミン類や脂肪酸類を主成分とし、悪臭防止法に基づく規制対象となるケースも多い成分です。
工場外への漏洩を抑制するには、設備の密閉化と実効性の高い脱臭システムの導入が求められます。脱臭装置を導入した食肉加工工場の事例から、対策運用のポイントを確認しましょう。
魚粉や肉骨粉などの原材料を加熱乾燥させる工程で、高濃度の独特な臭気が発生します。アルデヒド類や含窒素化合物が排出されるため、負荷に見合った適切な脱臭設備の選定が欠かせません。
大規模なスクラバー脱臭や燃焼式脱臭装置など、高負荷に対応可能な設備の検討が必要となります。脱臭装置を導入した飼料工場の事例については、次の記事をご確認ください。
有機肥料や堆肥の製造過程では、発酵に伴いアンモニアや硫黄化合物などの臭気が発生します。発酵の進度によって臭気の成分や強度が変化するため、それらの変動に対応できる脱臭システムが適しています。
周辺地域への環境負荷を考慮し、敷地境界線における臭気濃度を管理基準に基づいて運用することが重要です。次の記事では、肥料製造工場の導入事例や選定すべき脱臭手法について解説しています。
他にも、場所(施設)ごとに脱臭装置の導入事例、発生しやすい臭気の種類、効果的な脱臭方法などをまとめています。自社が管理している施設のジャンル(または類似ジャンル)の記事をご一読ください。
導入場所とにおいの特性に着目し、それぞれの課題に適したおすすめの脱臭装置を紹介します。「種類が多くて、何が違うのかわからない」そんな方こそ、自分の現場に適した脱臭装置選びにお役立てください。

設置場所
排気ダクト
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 605×400× 1000~820× 570×1400(mm) |
|---|---|
| 重量(kg) | 35~80 |
消臭成分が調理臭や油煙臭などと反応し、無臭物質へ変化させる。反応しきらない微量臭も、植物精油の香調により心地よい香りとなり効果を実感しやすい。
15種類の消臭剤が、水産加工から焼き菓子まで、食品の臭気に幅広く効果を発揮。植物由来の消臭成分で安全性が高く、厳しい安全・衛生管理基準もクリアする。

設置場所
乾燥炉排気・反応槽ベントライン など
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | - |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
VOCや悪臭成分を化学反応で無害・無臭に変換。微量のシリコンやリンを含む排ガスも前処理で対応可能で、触媒毒を含む化学・薬品工場でも使える。
装置内部の空気を外に逃げにくい状態に保つことで、ダクト接続部からの臭い漏れを防止。揮発性の強い化学物質を扱う場合でも周囲環境への影響を抑える。

設置場所
屋外または既存脱臭槽内
| 寸法 (mm/幅・奥行・高さ) | 6~12×9 (54~108㎡) |
|---|---|
| 重量(kg) | - |
堆肥化・発酵工程から発生する硫化系臭気や3,000ppmクラスの高濃度アンモニアへ対応。強臭環境においても、安定した脱臭性能を発揮する。
微生物の力で分解するため、燃焼系設備のような高エネルギー消費が不要。さらに低圧ブロワ採用で電力消費を抑制し、24時間連続運転でもコストを抑える。