畜産振興課が公表した資料によると、平成30年の畜産経営に起因する苦情発生戸数は1,480戸(平成31年3月調査時点) にも上っています。こうした苦情は、地域住民とのトラブルの元となり、事業にも影響が及ぶこともあるので、早期に対応して解決することが大切です。
畜産業で問題となっている臭気と行われている臭い対策についてまとめています。
畜体や、新しいふん尿、飼料、粉じんなどから発生する臭気が換気されて畜舎の外に拡散される臭い。ふん尿処理時に発生する臭気と比べると低濃度ですが、排出風量が多く捕集が難しいと言われます。季節や気象条件によって風量等が変化します。
ふん尿に含まれる有機物が各微生物に分解される際に排出される臭い。高濃度ですが、発生源が限定されていて、濃度変動が少なく、比較的小風量なため捕集が可能です。
良好なサイレージでは、乳酸発酵の独特な香気があるといわれますが、調整を失敗すると不快な酸敗臭を発することがあります。
畜産業における臭気は、高濃度あるいは大風量であるため、脱臭装置だけで処理すると高額な費用がかかってしまいます。そのため、においの発生をできるだけ抑えたり、大気に拡散させて希釈させる方法が用いられることが多いようです。
畜舎の臭気対策としては、ふん由来の低級脂肪酸と尿由来のアンモニアが広範囲にわたって存在しているため、ふん尿の処理がポイントになります。ふん尿の早期搬出と清掃が基本ですが、ふんの中の微生物の働きによってアンモニアの発生が高まり、臭気が強くなってしまうため、ふんと尿はできるだけ分離することが推奨されます。
これらの作業を省力化するため、そして、家畜の体にふんが付着することで表面積が増えたり、体温で温められることでさらに臭いが強くなることを防ぐため、畜舎内をすぐに清掃できる構造にすることも重要です。
全面すのこ床にして、朝夕の1日2回、スクレーパーでかき出したり、豚の習性を利用して排泄溝に排泄させ、1時間に数回、中水で排泄溝にたまったふん尿を洗い流すような仕組みを取り入れているところもあるようです。
このほか、エサの腐敗を防ぐため、時間になったら自動的に給餌するシステムにしたり、飲み水口を畜房の外に設置して飲水で床を濡らさないようにするような仕組みも、悪臭対策として有効です。
排泄直後のふんや尿は、独特の臭いはあるものの、それほど悪臭物質は多くないといわれています。このふん尿を混合すると、生物由来の作用によって尿中の尿素が急激にアンモニアになりますが、好気性発酵を促進すれば臭気成分は分解されます。好気性発酵を行うために必要な、堆肥原料中に酸素を送り込む「切り返し」などの作業の際には、どうしても臭いが出てしまいますが、そうした工程を行う際には、建物を密閉化することで臭いが漏れにくくなります。
また、作業をする時間も重要で、早朝や夕方は風がなく、臭いが強くなる傾向があるので、近隣からのクレームも多くなるといわれています。切り返しなど、臭いが発生する作業は、比較的風のある日中に作業を行うと、臭いが空気に乗って広がっていくので、臭気を感じにくくなります。
飼料からの臭気の発散を防ぐために取り組みたいのがサイレージの管理。サイレージとは、青刈りした飼料作物をサイロに詰めて乳酸発酵させたエサのことで、発酵によって生じた乳酸・酢酸が、腐敗菌やたんぱく分解菌の活動を抑えるため、長期貯蔵が可能になります。
良質なサイレージは甘い酢のにおいがするといわれています。しかし、酢酸濃度が高くなると酢のにおいが強くなったり、発酵速度が遅かったりサイレージ調整が高温下で行われたりすると腐敗臭のような悪臭がしたり、カビの発生やサイレージに過剰な発熱があったりすると焼け焦げた臭いやカビ臭がしたりします。
食品残さなどを利用して作られた「エコフィード」を飼料に取り入れている畜産農家も多いようですが、穀物が過多になると牛の胃のpHバランスが崩れて、ふんの臭いがきつくなるといわれています。繊維質を増やすとふん臭が弱くなるので、エコフィードを取り入れる場合には、繊維質を増やしてみるのもいいかもしれません。また、植物由来たんぱく質飼料にすると、ふん臭を減らすことができるといわれています。
畜舎や堆肥舎などに換気のための排出口を取り付ける場合、できるだけ高い位置に取り付けるのがおすすめです。排出口から出た臭気は、周辺の建物などの影響を受けて拡散していくのですが、排出口の高さが、周辺建物の2.5倍以上の場合、着地濃度が低くなり、1.5倍未満の場合は着地濃度が高くなります。つまり、排出口が高い方が、臭気が希釈されて着地臭気は薄くなり、臭いの影響が少なくなるといわれています。
臭気緩和対策として、生け垣を設置するという方法もあります。とくにツゲやヒバ類、サンゴジュなどの植物はアンモニア除去能力が高いといわれ、ヒバを湿った状態にした場合、生け垣の1m後ろの位置ではアンモニア濃度が30%低下し、3m後ろの位置では半分程度まで低下したという実験結果もあります。
(参考:畜産臭気対策マニュアル http://npdas.pref.niigata.lg.jp/nosoken_chikusan/5f0d6765f1339.pdf)
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