私たちの生活に身近な存在である食品工場の臭いは、近隣からの苦情が出やすいもののひとつです。食品工場で発生するおもな臭いと周囲への影響、臭い対策についてまとめています。
食品工場と一口に言っても、取り扱う食材によってにおいはさまざま。そして、においの感じ方も人によって大きく変わります。ケーキやチョコレートなどを製造する製菓工場の場合、甘くておいしそうなにおいだと感じる人もいれば、甘ったるくて気持ちが悪くなると感じる人もいます。また、一瞬であればいいにおいであっても、長時間、毎日かいでいると不快な臭いに感じてくることもあります。
食品工場では、大量の食材を濃縮して扱うこともあり、においが強くなる傾向にあります。とくに、においの強いニンニク、ネギ、カレーなどのスパイス、ゴマの焙煎、洋酒、バター、エビ・カニ・魚などの水産加工品などの場合、一般的な飲食店の臭気濃度の値が数千程度であるのに対し、その数値は数十万から数百万になるともいわれています。
例えば、ニンニクを調理する際には、硫化アリル、メチルメルカプタン、アリルメルカプタンなどの含有臭気成分が発生しますが、これらは嗅覚閾値(人間がにおいを感じる最小濃度)が低いため脱臭しにくいといわれています。さらに、ニンニクの排気臭は、微量であっても周囲への影響が大きいため、近隣の苦情にもなりかねず、場合によっては、悪臭防止法によって定められた地域境界線の基準値をオーバーしてしまうこともあります。
カレースパイス製造工場では排気される香料の臭気はかなり強くなりますし、魚を焼くにおいや揚げ物などの調理臭は、近隣からの苦情が多いもののひとつです。稼働時間が長くなることが多い食品工場においては、たとえ私たちの生活に身近な食材のにおいであったとしても、苦情が出やすくなってしまいます。
近隣からの苦情が出ることの多い食品工場。その臭い対策としては、脱臭装置を採り入れたり、消臭剤を用いたりして取り除くという方法ももちろんですが、まずは、排気口の高さや位置、向きなどを考慮することが重要です。工場内の空気を排出する排気口は、取り付け位置や向きによって周囲への影響が大きく変わります。とくに近隣に住宅がある場合、排気口が住宅の方向に向かないように注意しましょう。
消臭剤を使用する際には、臭いの原因となっている食材と消臭剤の成分の相性も考慮する必要があります。その食材に適した消臭剤を使用しないと、十分な消臭効果が得られないからです。
例えば、ニンニクの臭いを取り除く場合には、塩素系漂白成分のものが有効です。その食材に適した消臭剤を、充分な量、充分な時間をかけて使用することで、消臭剤の効果を発揮することができます。
高濃度で大容量の臭気に対しては、燃焼式脱臭装置や洗浄式脱臭装置、セラミック式脱臭フィルターなどの脱臭装置を採り入れるという方法もありますが、装置が大掛かりで重量もあり、廃水処理なども必要になります。また、食品工場は稼働時間が長いため、装置によってはランニングコストが膨大にかかってしまう可能性もあります。こうした装置を導入する場合には、工場を設計する段階から計画的に行っていくのが理想的です。
食品の分野においては、近年、HACCPの導入が急速に進展しています。HACCPは、2021年6月から、食品工場を含むすべての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)に義務付けられました。HACCPは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(ポイント)」の頭文字を取って作られた言葉で、日本語にすると「危害要因分析重要管理点」。食品工場などの製造工程を細分化し、各原料の受入から製造、出荷までのすべての工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因(ハザード)を科学的根拠に基づき管理していきます。
このHACCPの導入に基づき、安心・安全ニーズに対応する工場の新築や改修を行う企業が増えています。防虫・防塵などの異物混入に対する配慮はもちろん、除菌、防カビ、湿度コントロールなど工場内部の環境が清浄化されることは、不快な臭いの発生を防ぐことにもつながります。
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