畜産業など、高濃度の悪臭に対する脱臭方法として、高い効果を誇っている生物脱臭法。発生した悪臭を微生物が入った脱臭槽に導き、微生物の働きによって脱臭する方法です。
多くの施設では、生物脱臭槽の担体として、バークやおが粉などの木質系のものを用いていますが、木質チップ系の担体にはいくつかの課題もあり、またにおいが取り切れず困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、注目されているのが、脱臭槽の充填資材として多孔質ガラスを用いた生物脱臭装置です。
多孔質ガラスで有機物を脱臭を実現!低コストで維持管理が容易
ミライエの生物脱臭システムは、臭気成分を分解する微生物を長期間変質しない多孔質ガラスに定着させた脱臭装置。無数の微細な気孔のある多孔質ガラス材に、アンモニアや硫黄水素などの悪臭ガスを通すと、気孔内に定着した微生物が素早く悪臭を分解して脱臭します。発泡したガラスを担体として使用するので、木質チップのように微生物分解したり容積が減ったりする心配がありません。微生物の活性を維持するために、ガラス発泡材に散水する必要がありますが、循環水式方式のため低コストですみ、薬品の使用もありません。
無臭化時間も短縮され、一般的な生物脱臭の無臭化時間が120秒なのに対し、多孔質ガラスの生物脱臭装置では30秒ですみます。多孔質ガラスは劣化もしにくく、一般的な生物脱臭の機材交換頻度が0.5年であるのに、10年は使用し続けることができ、長期間に渡って交換が不要。既存の施設に入れ替えて使用することもできます。
多孔質ガラスを用いた生物脱臭装置には
メリットがたくさんあります
多孔質ガラスを用いた脱臭装置は、従来のものよりも高い除去性能を持つともいわれ、悪臭除去能力が4~7倍アップした事例も。
そこで、従来の 木質チップ脱臭で除去できなかった悪臭が、多孔質ガラス脱臭に入れ替えることで脱臭できたという事例を紹介します。
CASE
木質チップに比べ除去効率が4倍以上アップ
導入施設・業種
大規模養豚場:17,000頭
豚糞を縦型発酵装置で堆肥化し、発酵装置から排出される悪臭を木質チップによる生物脱臭槽で処理するも、発酵装置からの悪臭がアンモニアで2,500ppm以上と高濃度であり、木質チップでは除去率が18%程度と十分に除去しきれていない状況。そのため、脱臭槽表面からは2,000ppm近い濃度のアンモニアが大気放出。
木質チップと多孔質ガラス脱臭を入れ替え、脱臭設備の除去能力を向上を目指すことに。ここでは、95%程度の除去率となるよう、納入数量を設定。
脱臭槽は既存の槽をそのまま流用。槽下部の配管は、悪臭が均一に抜けるように構造を修正しました。
稼働後は、送風の偏りも少なく、槽全体で除去できるようになりました。吸気の悪臭も2400ppmに対して、除去後はおおむね0-80ppmという結果に。 除去率も、導入前は18%台だったものが、納入後は98%台と、大幅に改善しました。
バークチップとの入れ替え後は、ほぼ完全に悪臭を除去できるようになり、バークチップと比較すると、除去効率は4倍以上の高い効果を示しています。